親戚や友人からも借入れを行っている場合の債務整理は悩ましい問題があります。
債務整理を行うことをその親戚や友人に対して打ち明けて了承を得ている場合であれば特段問題になりませんが、知られずに債務整理を行いたい場合にはどういった方法をとるべきかよく考える必要があります。
業者からの借り入れ分だけ任意整理することで解決できるのであれば、それが一番スマートな解決です。
しかし、任意整理は借金の元金自体を減らせるわけではないため、元金だけの支払いになれば3年~5年程度で完済できるだけの収支状況がなければ難しいです。
個人再生、自己破産になると債権者を一律平等に扱わなければいけないため、基本的に親戚や友人だけを特別扱いすることはできません。
もし手続前に親戚や友人に対する借金だけを完済し、その後破産手続をとったとしても、破産管財人により否認権を行使され、破産管財人から当該親戚や友人に直接請求がされることが考えられます。
個人再生の場合も、手続前に親戚や友人にだけ返済した場合はその金額分が清算価値に加算され、返済する額が増えてしまうということになり得ます。
ただ、破産の場合のように否認権行使が現実に行われるわけではないため、結果的に親戚や友人に知られずに済む可能性はあるかもしれません。
もっとも、否認権行使を避ける目的で再生手続開始の申立てをした場合は、民事再生法25条4号により再生手続開始の申立てが棄却されることもあり得ます。
ですので、明確に否認権行使の回避目的で個人再生を選択するということは控えるべきです。
このように、個人間で借入れがある場合の債務整理の相談は弁護士としても悩ましい部分が多いです。
どのような形が最善かは借入れ相手との関係性など個人的な事情によるところが大きいと思いますので、弁護士との間でよく相談するべきでしょう。