任意整理は家族に秘密のまま行えるか

弁護士に債務整理のご相談にいらっしゃる方で,比較的多くのご要望があるのが,

“家族に知られないようにしたい”というものです。

一般的に,自己破産や個人再生を家族に知られずに行うのは難しいですが,任意整理は秘密のまま行えることが多いです。

これは,自己破産や個人再生の場合,家全体の家計の状況を精査しなければならない関係で,

ご家族の協力が不可欠なのに対して,任意整理だとそこまで詳細な資料を求められない等の違いがあるためです。

 

ただ,事実上家族に言わざるを得ない場合も少なくないです。

よくあるケースが,“財布のひもを配偶者が握っている”というものです。

今後の返済について,毎月の自分のお小遣いの範囲でどうにかしたいとおっしゃる方がいらっしゃいますが,

その範囲で払っていければ特に問題ないものの,それでは到底足りないという場合,

奥様(旦那様)に事情を伝えざるを得ないかと思います。

 

債権者に対して“月収は○○万円だけど,自分のお小遣いは×万円なので,月額×万円の範囲でしか払えません”

と伝えることはできませんか?という質問を受けることもございますが,

そうした家庭内の事情は原則として認められませんのでご注意ください。

 

特に,広く一般に知られている会社にお勤めで,収入の高い方などは,

債権者側も十分な収入があることをよくわかっているので,家族に秘密のまま任意整理を進められるのかどうか,

弁護士によく確認すべきかと思います。

免責審尋について

東京地裁で自己破産の申立てを行い,同時廃止の手続となった場合でも,

基本的に一度だけ自己破産を申し立てた本人が裁判所へ行く必要があります。

いつ行く必要があるのかというと,申立てを行った数か月後にある「免責審尋」の期日に行く必要が出てきます。

 

裁判所へ行く,というのは普通の人にとってかなり緊張感のあるものだと思いますが,

代理人である弁護士も一緒に行くことになるのでご安心ください。

 

また,この手続は,(建前はともかく)ほとんどの場合裁判所に出頭しているのが本人であるということ,

住所や本籍地に変わりがないこと,申立てから免責審尋までの間に特段状況に変化がないこと

を確認するという手続のみで終わります。

自分の番になったら前へ行き,自分の名前を名乗り,住所や本籍に変わりはありませんかという裁判官からの質問に(「変わりありません」と)答える,

そして裁判官から代理人に対して,状況の変化がないかという質問があり,代理人が(「特にございません」と)答える,

これだけです。

そのため,本当に数十秒で終わることになります。

 

自己破産だと裁判所に行かないといけないから嫌だな…ともし思われている方がいるとしたら,

裁判所に行くといっても上述のとおりなのでご安心ください(管財事件となると異なってきますが)。

 

また,前にも少し書いたことがありますが,破産の手続は各裁判所によってかなり異なりますので,

申立人本人の出頭が必要なタイミングは,申し立てる裁判所によって変わりますのでご注意ください。

破産や再生の手続が都道府県によって違う?

裁判所によって,事実上運用が異なるケースがあるということは以前にも書かせていただいたことがあるかもしれません。

例えば,東京では事件数が多いためか,それを処理していくために,地方よりもスピーディーに展開を進めようとするイメージがあります。

そして,裁判手続の中でも自己破産や個人再生の手続は,特に各都道府県の特徴が色濃く出ているように思います。

 

余談ですが,裁判官は数年おきに全国転勤することになりますので,東京の裁判官がずっと東京にいるわけではないですし,

地方の県の裁判官がずっとその県で勤務しているわけでもありません。

ですので,感覚的にはどちらかというと各地方ごとの特徴は芽生えづらく,全国一律の運用になっていきそうだと思うのですが,

どういうわけか各都道府県ごとにかなり運用が異なっています。

 

まず,自己破産であっても個人再生であっても,裁判所に申立書を提出するわけですが,

その申立書自体が各地の裁判所が用意した書式を使うことになるので,内容が少しずつ異なっています。

そして,東京の運用で特徴的なのは,自己破産の場合に即日面談という代理人が裁判官と個別に話をする機会があり,

また,個人再生の場合には全件で再生委員が選任されるという点です。

いずれにしても,他の道府県よりも弁護士が行う手続が増える場合が多いといえます。

 

地域によっては,ケース次第ですが,申立書類を裁判所に提出し,特に内容に問題がなければ

裁判所に行くこともなく手続が終了することもあるということを思えば,これはかなりの違いがあると思います。

キャッシュレス決済

昨年の消費税増税と同時期に,国がキャッシュレス決済の普及を進めたこともあり,

以前と比べてかなりバーコード決済などの決済方法が一般的となってきました。

私個人は以前からカード派で,ポイントをこつこつためるのが好きだったりするのですが,

昨年の消費税増税と当時に,これまで以上にキャッシュレス決済を利用することによる還元率が高まり,

私の周りの現金派の人たちも,これを機にキャッシュレス決済に手を出していました。

 

弁護士として債務整理の業務に携わっていても,しばしばキャッシュレス決済の問題に直面します。

債務整理のご相談にいらっしゃる方は,基本的にカードをよく利用されている方であり,

ほとんどの場合が“キャッシュレス派”の方ということになります。

キャッシュレス派からすれば,「債務整理手続をとることでクレジットカードが使えなくなるだけでも不便なのに,

国の政策であるキャッシュレス決済によるポイント還元の恩恵にもあずかれないのではないか…」という不安が出るのは当然です。

 

しかし,キャッシュレスというのはクレジットカードのようないわゆる後払いシステムだけでなく,

事前にチャージしたうえで支払を行うプリペイドシステムもありますし,利用と同時に引き落としがされるデビットカードもあります。

後払いシステムの利用は債務整理を行うと難しくなりますが,先払い,同時払いは信用情報と関係がないので,継続して利用できます。

 

債務整理をすることでできなくなることについては,ぜひ弁護士に確認していただければと思います。

不動産の価値についての問題

東京オリンピックが来年に迫っていますが,

東京都内にお住まいの方は,「オリンピックが終わるまで不動産を買うのは待った方がいい」

なんて言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

オリンピック後に本当に不動産価格が下がるのかどうかはわかりませんが,

東京の不動産価格は地方と比べ物にならない高さです(もちろん場所にもよりますが。)。

例えば,10年前に買った住宅が,むしろ現在の方が値上がりしている,なんていうことも少なくないですよね。

今高騰している住宅を昔買っていた人がうらやましいなあと思ってしまいますが,

実はこの話,弁護士にとっては債務整理手続,特に個人再生手続との関係で,大きなポイントになることがあります。

 

個人再生とは,簡単に言うと,現在の債務額を圧縮し(減額し),その圧縮された金額を分割払いで支払っていく…というのが基本的な流れです。

ただし,清算価値保障の原則があり,破産した場合よりも債権者に弁済する額(配当額)が少ないというのは認められません。

これは結局,住宅ローンが残っていても,実はその住宅の現在価値が住宅ローン残額を超えている場合,

超えた分については弁済を行わなければならないということになります(破産したらその住宅は売却され,残ローンを上回る部分については債権者に対して弁済されることになるため)。

 

先ほど述べたように,東京では買った時より今の方が価値が上がっているということが少なくないですし,

上がっていないにしても下がっていないということがしばしばあります。

たとえば,4000万円で買った家のローンが3000万円残っていたとしても,住宅の現在価値が5000万円になっていたら,

個人再生をしても,差額の2000万円は払わないといけないということになってしまいます。

多くの場合,これでは個人再生をする意味がないという結論になってしまうため,別の方策を探るということになるでしょう。

 

このように,東京都内でマイホームをもっている方の個人再生は,不動産価値の問題が重要になってきます。

携帯電話の分割払いと自己破産

自己破産をする場合,そのとき抱えている借金の相手(債権者)に対して,

自己破産手続をとることを通知することになります。

銀行や消費者金融からの借入れがある場合についてはイメージがつきやすいかと思いますが,

携帯電話については盲点となることが多いです。

 

今は携帯電話本体の代金が高額ですし,各社とも分割払いがお得だと宣伝していることもあり,

携帯電話本体の代金を分割払いで購入されている方が多いと思います。

しかし,携帯電話本体の分割払いも,借金の1つとカウントされることになります。

ですので,本体代金をまだ払い終わっていない方が自己破産をして免責許可の決定を受ける場合,

他の借金と合わせて,携帯電話本体の代金も払わなくてよいこととなります。

そうすると,携帯電話は強制解約となり,利用することはできなくなってしまうのです。

 

現代社会で携帯電話なしの生活というのは,現実的に難しいという方も多いと思います。

そのため,破産手続を開始する前に,プリペイド携帯に変更するなど

手続開始後も通信手段が残る状態にするという方法もあります。

 

携帯電話については,先ほども述べたように,

生活必需品となっている側面が強いことから,他の借金とは区別して考えるべきではないかという考え方もあるようです。

最も身近な借金ともいえる携帯電話の分割払いですが,

債務整理手続の場面では,かなり複雑な問題があります。

専門家でも判断が分かれることがある話なので,迷われたらぜひ弁護士にご相談いただくのがよいと思います。

 

 

なお,弊所のホームページ写真が更新されました。

http://www.kokoro-tokyo.com/

過払い金請求事件はもう終わり?

もうずいぶん前から,弁護士事務所のCMや電車内の広告,あるいはホームページなどで「過払い金」というワードが多々登場しているので,

多くの方がなんとなく“過払い金請求によりお金が返ってくることがあるらしい”ということはご存知かと思います。

また,何年か前からは「時効」という言葉が出てきたことをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

 

時効という言葉を聞くと,「あぁ,もう過払い金請求はできないんだ」という気持ちになるかもしれませんが,

実際のところ,まだ少なからず過払い金請求事件は存在します。

多くのホームページで紹介されているので詳述は避けますが,過払い金はおおむね平成19年以前からお借入れがある場合に発生します。

そして,過払い金返還請求の時効は10年なのですが,この10年というのがどの時点を始点に考えるのかがポイントになります。

 

この問題について,細かいことを言えばさまざまな論点があるのですが(途中で完済したことがある場合など),

基本的に,お借入れを“完済したとき”が始点になります。

ですので,平成23年に完済したのであれば令和3年に時効ということになりますし,平成25年に完済したのであれば令和5年に時効ということになるのです。

 

平成19年以前から借り入れを開始して,完済したのが平成21年以降というケースは少なくないと思いますので,

過払い金請求が現在でも行えるという方は決して少なくないですし,現に現在も過払い金のご相談を受けることはしばしばあります。

「もしかしたら」と思った方は,一度弁護士に相談してみるといいでしょう。

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どんな相手に対しても任意整理できる?

近頃どんどん暑さが増してきて,じめじめも加わり,いよいよ夏本番という感じですね。

夏風邪などひかぬよう,私も日々気をつけつつお仕事に邁進したいと思います。

 

今日は任意整理でよく聞かれる疑問について書きたいと思います。

弁護士に任意整理を依頼すると,月々の支払いが減ったり,将来利息がなくなったりといったメリットがある,ということはよく聞かれるところです。

ところで,これが認められる理由はどういったところにあるのでしょうか。

 

結論から言うと,法的な理由はないです。

あくまで,“債務者のお願いを債権者が受け入れてくれた”といった程度の話です。

つまり,債権者からすれば,債務者のお願いを聞いてあげる義務はないけれども,

破産や再生の手続をとられるよりは貸金の回収ができるので応じている,ということになります。

 

すると,任意整理によって,月々の支払いが減る,将来利息を支払わなくてよくなる,といった結果が出るかどうかは,

基本的に相手方の出方次第ということになります。

大手消費者金融などは,任意整理のお願いをされた際の方針を決めていますので,お願いする側としてもある程度目途が立ちます。

他方で,ごく一部の地域でのみ営業しているような小規模消費者金融などは,任意整理の対応を受け付けていないということも多いです。

つまり,法的に任意整理の相談に応じる義務はない以上,あくまで決められたとおりの金額の支払いを求めてくるということになります。

 

「ほかの会社は応じてくれているのにこの会社だけなんで!」という気持ちにもなってきますが,

法的に応じる義務はない以上,このような対応をしてくる会社があるのもある意味当然ではあります。

 

ですので,任意整理を検討する際には,借入額や月々の返済可能額だけでなく,借入先の会社がどこかということも大事になってきますので,

その点についてもご注意いただければと思います。

時効の援用

2月も後半になり,東京では季節外れの暖かい日もしばしば出てくるなど,

もう寒さの峠は越えたという印象ですね。

私は非常に寒がりなので,早く暖かくなってくれると気分も晴れやかになります。

けど,もれなく花粉症も酷いタイプなので,そこは身構えないといけません。笑

 

今回書かせていただくのは,タイトルにありますように「時効の援用」です。

「時効」という言葉は誰もが一度は聞いたことがあるかと思います。

例えば,“消費者金融でお金を借りて,その後その消費者金融に返済を行っていたが,

まだ借金が残っているにもかかわらず,返済をストップしてしまった”というときに

そこから一定の期間(多くの場合は5年)が経過すると,「時効」を主張できる可能性があります。

時効は主張しないと効果が発生しません。

そして,時効を主張することを「時効の援用」といいます。

 

私は,実際に弁護士として仕事をするまで,

“時効を主張できるほど案件が放置されることなんて普通はないだろう”と思っていました。

せいぜい,個人間のやり取りでたまに存在するという程度で,いわゆる大手の消費者金融からの借金でそうしたことは起きないだろうと考えていました。

しかし,実際にはそうした大手消費者金融から借りたお金について,何年も取引がない状態が続いているということで,

時効を援用して解決するというケースがしばしばあります。

 

大会社に対するある種の思い込みみたいなものが私にあったのだと思いますが,

このような思考は一般的にも割とあるのではないかと思います。

ですので,この件に限らず,自分で結論を決めつけないことが大切だなと改めて感じています。

任意整理ができるかどうかの分岐点

債務整理手続をとるとなったときに,まず第一に検討するのは任意整理手続が可能かどうかということだと思います。

任意整理手続は,債権者各社との間で,支払っていくことができる金額での分割払いを交渉する手続です。

将来利息はカットしてくれることが多いので,それだけでもかなりトータルの支払額が減ることになりますが,

現在抱えている債務については基本的に減額されないということになります。

 

分割払いといってもやはりある程度の限度があります。

一般的に3年(36回)から5年(60回)程度の分割なら,ということで債権者が応じてくれることが多いです。

したがって,まずは現状抱えている債務総額を60で割ったときに,月々支払っていける金額の範囲内に収まっているかどうかが任意整理を行えるかどうかの目安になります。

 

月々の支払い可能額の範囲に収まっていないという場合,個人再生や破産といった手続を検討していくことになるわけですが,

どうしても任意整理以外の手続をとれない事情があるという場合もあります。

そうした場合には,どうにかして6年(72回)あるいは7年(84回)での分割を債権者に認めてもらわなければならないことになります。

債権者によっては,月々の収入額,支出の内訳等を具体的に伝えることで,その金額が月々に支払える限度であることを納得してもらい,

こうした長期分割に応じてくれることがあります。

他方で,会社として60回払いにしか応じないと決めている会社,あるいは36回払いにしか応じないと決めている会社もあります。

そうした会社が債権者となっている場合には,一般的な範囲を超えた長期での分割は難しくなってくるでしょう。

 

また,それまでの債権者との信頼関係も影響してくることがあります。

すでに滞納が相当程度長期になっている場合や,借入からの期間が浅く,信頼関係が構築されていない場合などは,

長期の分割に難色を示されることが多いです。

 

これらの様々な事情を踏まえ,弁護士はどの債務整理手続をすべきかの判断を行うことになります。

債務整理手続の種類と概略 その3

今年もいよいよ残りわずかとなり,すっかり冬らしくなりました。

弁護士という仕事柄,遠方の裁判所等に行くこともしばしばあるのですが,

この時期に北国へ行くと東京都の温度差に驚かされます。

北国の人たちにとってみればまだまだ寒くなるのはこれからということで,全然これぐらいの寒さはへっちゃらなのかなと思いきや

むしろ比較的早い時期からしっかり防寒具を着用しているなという印象もあるので,

北国の人たちは寒さに強いというよりは,寒さ対策がきっちりできているんだなぁなどと感じています。

さて,債務整理手続についてこれまで任意整理,個人再生とお話ししてきましたが,残る手続が破産手続となります。

破産という言葉は皆さん聞いたことがあるかと思いますが,任意整理,個人再生と違い,

借金を分割して支払うというのではなく,抱えている借金をすべてなくす手続になります。

このような強力な手続ですので,当然無制限に認められるというわけではありません。

破産手続のメリット・デメリットをそれぞれ挙げると,

まずメリットは当然債務から解放されることということになります。

他方,デメリットは,まず原則としてギャンブルや浪費によってできた借金については免責不許可事由となるので破産手続を選択しづらいということがあります。

また,破産をすると一定の職業に就けないことになりますので,例えば保険の外交員などを職業とされている場合はやはり選択しづらい手続となります。

加えて,破産手続は一部の借金に対してのみ行うなどはできないので,保証人がついている借金がある場合には破産手続によりその保証人に請求がいくこととなります。

ですので,保証人がついている借金がある場合にはその辺りの点についても十分考慮したうえで手続しなければなりません。

自己破産を東京でお考えの方はこちら

債務整理手続の種類と概略 その2

11月に入り東京もすっかり秋めいてきました。

私は過ごしやすい気温の時期は少し離れた駅から歩いて通勤しているのですが,

それももうしばらくしたら終わってしまいそうです。

 

さて,前回は任意整理について簡単にご説明させていただきましたが,

今回は民事(個人)再生手続についてお話しさせていただきます。

 

再生手続は任意整理と違い,裁判所を用いた手続になります。

また,破産手続と違い,債務(借金)がゼロになるというわけではありません。

債務を圧縮(減額)し,その圧縮された借金を分割払いしていくという手続になります。

まさに任意整理と破産の間にあるような手続ですが,あえて破産ではなく再生手続を選ぶメリットとは何なのでしょうか。

 

破産は借金をゼロにする最後の手段ですが,破産することが許されないケースという類型が存在します。

例えば借金の原因がギャンブルだったり浪費だったりという場合には,免責不許可事由に該当します(裁量免責により破産できる場合もあります。)。

ですので,借金の原因次第では破産手続をとりにくいということがあります。

 

また,破産をしてしまうと一定の職種に就けないこととなるため,仕事を今後も継続するために破産手続をとり得ない方もいらっしゃいます。

 

さらに,再生手続は住宅を手放さずに住宅ローン以外の債務を対象に行える手続なので,

住宅を残したいという方にとって有用な手続となります。

 

以上が再生手続を選ぶメリットとなります。

いずれにしても,どの手段をとるべきかは弁護士に確認するのが確実でしょう。

個人再生を東京でお考えの方はこちら

債務整理手続の種類と概略 その1

借金がかさんでしまい,もう家計が回らない…といったときに

弁護士へ相談してとり得る手続は,一般的に3つあるとされます。

1つは任意整理手続と呼ばれるもので,2つ目は民事再生手続,3つ目が破産手続です。

 

今回は任意整理手続とは何かについて少し書かせていただきます。

任意整理手続とは,その名のとおり各債権者と任意の交渉を行い,支払継続が可能な計画を立て,

以後それに従って返済を行っていくというものです。

 

任意整理手続のメリットとして挙げられるのは,あくまで「任意」の手続なので自由度が高く,

それぞれの債権者に対しどのような条件を提示して交渉するかも自由に決められるということがあります。

そもそも,一部の債権者は手続の対象に含まないなども可能です。

 

他方デメリットとして挙げられるのは,他の2つの手続と違い裁判所をとおすものではないので

強制力がないということがあります。

あくまで個々の債権者との「任意」の交渉なので,こちらの提案に債権者が同意するかどうかは債権者次第であり

返済計画がうまく成立しないということはあり得ます。

また,任意整理は原則として返済額を減らすものではないので,

ご収入(月々の返済可能額)や総債務額の関係で,任意整理手続をとることが難しい(返済計画が成り立たない)ということもあります。

 

民事再生,破産といった手続はどうしても抵抗があるという人も多く,

債務整理手続の中でまず最初に検討するのが任意整理ということが多いかと思います。

 

次回は民事再生について記載させていただく予定です。

任意整理できるかどうかの見極め

以前も少し書かせていただきましたが,任意整理手続は基本的に債務整理手続の中で最もライトな手続です。

心理的にも,裁判所を使うことになる自己破産・個人再生の手続をとるのは抵抗があるという方が少なくないです。

 

そのため,債務整理を考えたときにまず任意整理が可能かどうかを検討することが多いのですが,

任意整理は基本的に借金を減らすものではなく,返済が可能になる形での分割払いを求めて各社と交渉するというものです。

分割回数もやはり限度があるので,一般的には3年から5年,つまり36回から60回程度に分割して返済が完了するかどうかが

弁護士が任意整理を行えるかどうか判断する一つの目安になります。

 

もちろん,債権会社によってそれぞれ対応は異なります。

経営状況などがかかわっているのかと思いますが,会社として分割回数を決めていてまったく交渉の余地がないという会社もあります。

また,今後数年間かけて返済していくにあたり,その数年返済にかかる分についての利息(将来利息)を支払うことを強く求めてくる会社もあります。

あるいは,債務者の方の収入,月々の支払内訳を細かく確認し,本当にどうにもならないと債権者が認めてくれたときに限り

分割回数を増やすことに同意してくれる会社もあります。

 

こうしたことを踏まえての交渉は,法的な交渉というよりも事実上“お願い”に近い面もあり,

法的知識よりも経験・場数の問題という印象があります。