再生計画変更の申立て

個人再生手続で無事認可決定を受けて返済していたけれども、また返済が苦しくなってしまった、という状況になってしまうと、現実的にとり得る手段は少ないです。

多くの場合、そのまま支払えなくなってしまい再生計画は取り消され、自己破産手続に移行することになるでしょう。

しかし、自己破産を避けたいがために個人再生を選んでいる方も多いでしょうから、何とかして個人再生を継続できないかと考えるのは当然です。

こうした再生計画どおりの返済が途中で苦しくなってしまった方のための手続に、再生計画変更というものがあります。

その名のとおり、再生計画を途中で変更するのですが、具体的には最大2年間返済計画を延長することができます。

例えば、当初の再生計画が最長の5年返済で計画されていたとして、すでに2年間返済していたとすると、残りの返済期間は3年になるわけですが、これを5年(つまりトータルで7年)まで伸ばすことができるのです。

これだけ見るとかなり有効な救済策にも見えますが、実際にはほとんど使われていない手続です。

その理由としては、①再生計画変更が認められるまでの間(事案にもよりますがおおむね半年程度)は従来の計画どおりに返済を続けなければならないこと、②弁護士に依頼して行う場合、①の従来通りの返済に加えて弁護士費用の準備もしなければならないこと、などがあるようです。

つまり、もう来月から返済ができない、という状況まで来てしまってからではなかなか難しい手続だということになります。

例えば、向こう1年間の収入がこれまでよりも下がることがあらかじめわかっているなど、前もって収支の計算ができる方であれば、早め早めに対応することで再生計画変更の手続を行うことができる可能性があります。

法人破産における費用の準備

個人の破産を申し立てる場合の費用(破産手続に要する費用や弁護士費用など)については、一括で準備することができなくても分割払いで準備することが珍しくありません。

勤務先から毎月給与を受け取っている方は、破産するからといってそれ以後給与の支払いを受けられなくなるわけではありませんから、給与の中から分割で費用の支払いをしていけばいいわけです。

他方で、法人破産の場合は同じような費用の準備の仕方をすることが難しいです。

なぜなら、法人が破産することを対外的に表明した後は、基本的に事業をすることができないため、分割で支払うための収入が入る見込みが立たないからです。

したがって、完全にお金が尽きた状態になってから法人破産をしようと決意した場合、個人の破産以上に諸々の費用の準備が難しくなってしまうことがあります(個人の破産と比べて法人の破産は一般的に費用が高いということも念頭に入れないといけません。)。

弁護士への相談は早めの方がいいというのは、破産に限らずあらゆる分野で謳われていますが、法人破産の場合はより一層その要請が強いと思います。

弁護士に相談する=破産する ではないので、この先どのような選択肢があるのかを確認するためにも、あらゆる可能性を想定して早め早めのご相談をおすすめいたします。

1,2か月だけ返済を待ってほしいとき

今後一切返済ができないわけではなく、1,2か月だけ待ってくれれば返済を再開できるので、少しだけ待ってほしいという意向をお持ちの方から相談を受けることがあります。

体調不良などで勤務日数が極端に減ってしまったなどの理由でこのような状況に陥ってしまうことは珍しくない印象です。

1,2か月遅れても借入先がそれでいいと言ってくれるなら構わないわけですが、なかなかそう簡単にはいかないのが実情でしょう。

そこで弁護士に依頼して交渉するということになるのですが、このような場合でも弁護士が介入して返済条件を変更する以上は任意整理という手続を行うことになります。

任意整理をする場合、ひとまず返済は待ってもらって、一定期間弁護士費用の積立の期間があります。

例えば4か月かけて弁護士費用を積み立てて、着手金分がたまったら任意整理の交渉に移るという形です。

すると、任意整理をする場合はいずれにしても着手金の準備をしている期間は返済を待ってもらうことになりますので、今回の例でいうとわざわざ“1,2か月待ってください”と言う必要もないことになります。

余裕をもって弁護士費用の積立を行い、返済に充てるお金もある程度余裕をもって確保できる状況になってから返済を再開する内容にすれば、その後また同じ状況に陥ることを防ぐことにもなります。

もちろん、利息のことなどを考えれば早めに返済を再開した方がいい面もありますが、返済を継続していくという観点から考えれば、返済の再開時期はよく考えて決めるべきでしょう。

自己破産と財産隠しの問題

自己破産すると原則として財産を残すことができません。

しかし、これは例えば自宅に人が押しかけてきて財産を強制的に取り上げるということではありません。

基本的には保有している財産に何があるのかを自己申告し、その中から破産管財人が処分する必要があるものについて財産を引き渡すという形で行われます。

つまり、どのような財産を保有しているのかは自己申告による確認が原則ということになるので、“言わなければバレないのではないか”と考える人もいるようです。

しかし、自己破産の申立てでは源泉徴収票や確定申告書等の収入に関する書類、銀行通帳なども提出する必要があります。

たとえば銀行通帳の取引履歴の中に内容のよくわからないものがあれば説明を求められますし、収入に対応する支出が通帳からわからなければやはり説明を求められます。

財産隠しをしようとしても、これら提出資料を精査する中で隠し財産があることは露見します。

財産隠しは免責不許可事由に該当するため、借金の返済義務がなくならないという結果になることもあり得ます。

自己破産すると決めたのであれば、弁護士に対して包み隠さずすべての情報を伝え、真摯に手続を行う姿勢が求められます。

2回目の任意整理

一度任意整理したものの、再度支払いが難しくなってしまったというご相談を受けることがあります。

自己破産や個人再生に切り替えることも多いのですが、1,2か月だけ返済が難しく、それ以降はまた返済できる見込みがあるといった状況の方もしばしばおられるので、その場合は2回目の任意整理をすることになります。

最初の任意整理はいいけど2回目の任意整理は応じない、といった対応をされた経験はないですが、同じ弁護士からの再度の任意整理には応じないとする会社はあります。

しかし、この場合も別の弁護士からの任意整理の求めであれば応じるはずですので、1度任意整理しているからといって2回目の任意整理ができないと考える必要はありません。

任意整理はあくまで債権者へのお願いの手続ですので、初回の任意整理よりもこちらに有利な条件を相手が受け入れてくれることは期待しない方がいいでしょう。

しかし、初回と同等の条件であれば応じてくれることが多い印象です。

完済できる見込みが立たないにもかかわらず何度も任意整理することは避けるべきですが、任意整理で途中まで頑張ってきたのできちんと払いたいという意向をお持ちの方も多く見受けられます。

どの選択をしたらいいか、考えるお手伝いができればと思いますので、お困りの方はご相談ください。

裁判所へ行くことについて

弁護士=裁判というイメージがあるためか、弁護士に依頼すると裁判所に行かなければいけないのかという質問を受けることがあります。

裁判所に対する畏怖があるからこその質問かもしれませんが、まず裁判所は恐れを抱くような場所ではないのでその点はご安心いただきたいところです。

また、そもそも弁護士に依頼したとして裁判所に行くことは稀です。

債務整理手続の中でも自己破産や個人再生といった手続は、裁判所を利用した法的手続と呼ばれますが、法的手続であっても個人再生で裁判所に行くケースはほとんどないです。

東京地裁で個人再生を申し立てる場合は、再生委員が選任されるため、再生委員との面談に行く必要はあるものの、裁判所に行く機会は通常ないのです。

他方で、自己破産の場合は同時廃止であっても管財手続であっても1度は裁判所に行くことになります。

この点は裁判所ごとに運用が違うこともありますが、東京地裁では同時廃止の場合免責審尋期日、管財手続の場合債権者集会にあたって裁判所へ行くことが求められます。

もっとも、裁判所に行くといっても何か難しい対応をしなければならないわけではなく、聞かれたことに対して回答すれば大丈夫ですし、場合によっては発言の機会自体がないこともあります。

個人事業主の自己破産は同時廃止にならない?

自己破産をしたときに同時廃止となるのか管財手続となるのかは、費用の面からも気にされる方が多いです。

両手続の区分けは諸々の事情を考慮して行われますが、事業をされている方の場合だと管財手続になるのが原則です。

もっとも、事業をしているといっても、人を雇用するなどして手広く事業を取り扱っているケースもあれば、特定の会社からのみ受注しているだけで実質的には雇用されているのと変わらない形で事業をしているケースもあります。

この例でいうと、前者のような事業者が自己破産する場合は管財手続になるでしょう。

他方で、後者のような個人事業主で、事業に利用している事務所や什器、在庫商品などがないということであれば、同時廃止手続になる可能性もあります。

最近では東京などの都市部では、ウーバーイーツなどフードデリバリーで生計を立てている方も多いですが、この場合在庫商品などもないでしょうし、事業におけるお金の流れもシンプルですので同時廃止手続で進められる可能性もあると考えられます。

また、会社の都合で雇用ではなく業務委託契約で働いている方もいるかと思いますが、実質的には給与所得者と変わらないということで同時廃止手続となる可能性があると考えられます。

破産管財事件について

自己破産を考えたことがあれば、おそらく「同時廃止」と「管財事件」という言葉について早い段階で目にすることになると思います。

比較的簡明な事案については同時廃止手続で進み、複雑な事案については管財事件になるということや、管財事件となったときには別途予納金がかかるため同時廃止になった方が有利といったことが書かれていることが多いと思います。

おそらくそうした説明を事前に調べているために、「同時廃止で手続きが進むようにしてほしい」という希望を述べられる方もいらっしゃいます。

ただ、勘違いしてはいけないのは、決して同時廃止が善で管財事件が悪というようなものではないということです。

本来は破産管財手続が破産手続の基本的な形であり、例外的に簡略な事案について同時廃止という手続が存在しているといったものなので、破産管財手続になったからといって免責が認められない可能性が高まることにはなりません。

東京地裁では全体の60~70%が管財手続で進められるため、ある意味原則と例外の位置づけについて本来の形が維持されているともいえるのですが、その他の地域の多くにおいて原則と例外の割合が逆転している状態にあります。

それもあり、管財手続に対する拒絶反応のようなものが醸成されてしまっているのかもしれません。

もちろん、管財手続の方が費用面で有利なのはその通りですが、必要以上に畏怖するようなものではないのでご安心ください。

保険会社の対応は会社によって違うのか

交通事故の被害に遭うと、事故の加害者が加入している保険会社の担当者とやりとりしていくこととなります。

自分の保険会社であれば会社を選べますが、加害者の加入している保険会社ですから、どの保険会社が相手になるかは完全にランダムということになります。

では、保険会社ごとに良し悪しなどはあるのでしょうか。

そもそも何をもって良い・悪いを決めるのかというのが難しいのですが、弁護士として交通事故被害者の声を聞いていると、賠償金額などの保障の内容というよりは担当者の人柄に対する評価の方を口にする方が多いように思います。

そうなってくると、会社の違いというよりは担当者レベルでの対応の違いの方が重要ということになりそうです。

つまり、「A社の対応が良かった」「B社の対応が悪かった」という人がいたとしても、それは「A社の良い担当者にあたった」「B社の悪い担当者にあたった」ということである可能性が高い気がします。

ちなみに、保障内容に関して保険会社ごとの良し悪しはあるのかという点ですが、全くないわけではないかもしれませんが、これもどちらかというと担当者であったりサービスセンターごとの違いの方が大きいような印象です。

もちろん、これはあくまで任意の交渉で解決する場合の話ですので、理不尽な内容を相手が提示してくるような場合には裁判手続をとることでよりよい解決ができる可能性が高まります。

相続放棄の期限

相続放棄の期限は、相続人となったことを知ってから3か月以内ですので、弁護士の行う手続の中でもかなりタイトな時間制限がある手続です。

上記期限は、一般的に被相続人が亡くなった日から3か月と同じ意味であるとされることが多いですが、必ずしも被相続人が亡くなった日にその事実を相続人が知るとは限りません。

特に、きょうだいや甥姪の立場にある方の場合などは、被相続人とすでに疎遠となっていて、死後しばらく経ってから亡くなったことを知るということも珍しくありませんし、場合によってはほとんど会ったことがないというケースも散見されます。

そうした場合は、亡くなった日ではなく亡くなったことを知った日がいつなのかが大事になってくることになります。

ただし、本当に亡くなったことを知ったのが後になってからなのか、後になって争いになることもないとは限りません。

ですので、例えば郵便等で被相続人が亡くなったことを知らされたのであれば、その郵便がいつ届いたものなのかは大事な証拠になる可能性があります。

郵便が届いたのであれば、書類や封筒自体もきちんと保管しておくようにしましょう。

そうした裏付け資料がない場合であっても、被相続人の死後すぐに亡くなったことを知ることができるような関係になかった(疎遠であった)ということをきちんとわかるようにしておくと、より万全かと思います。

ビジネス・コート

令和4年10月から東京地裁のビジネス・コートが開庁します。

要はこれまで霞が関の裁判所にあった東京地裁の機能のうち、一部をビジネス・コートに移転するということになります。

ビジネス・コートがあるのは中目黒ですので、霞が関の近所への引っ越しというわけでもなく、わりと大規模な移転という感じですね。

ビジネスという名前である以上、一般の個人の方からすればあまり関係ないと思われるかもしれませんが、倒産部全体が中目黒に移転するため、個人の破産や再生手続もこのビジネス・コートで行われることになります。

特に破産手続では、免責審尋や債権者集会といった手続で裁判所に行く必要がありますので、場所を間違えないように注意が必要ですね(裁判所といえば霞が関というイメージがあるかもしれませんし、従来の霞が関庁舎がなくなるわけではないため、単に「東京地裁」と検索してしまうと霞が関へ案内されてしまうでしょうから。)。

弁護士としても、霞が関庁舎へ行くのと中目黒の庁舎に行くのとでは所要時間がだいぶ変わってきますので、これまでの感覚で前後の日程を入れてしまうと予定の時間に間に合わないということになりかねないので、注意しないといけないなと感じています。

債権者集会には債権者が来る?

東京地裁では、コロナ禍以降、特に必要がなければ債権者集会に破産者や破産者代理人の出頭を求めないという運用がとられてきました。

最近になって、通常通り出頭を求める運用に戻ってきているのですが、債権者集会とは何なのか、そこで債権者から問い詰められたりするのか、といったことが気になる方も多いようです。

債権者集会は、その名前のとおり債権者が出席することのできる手続ではあるものの、個人の方が破産する場合にわざわざ貸金業者が債権者集会に参加するということは通常ありません。

ですので、貸金業者以外から借入れがある場合や、事業資金の借入れがある場合は別として、個人の自己破産手続の場合の債権者集会は、債権者が誰も出席していないというのがむしろ普通です。
裁判官と破産管財人、破産者、破産者代理人が出席して淡々と手続が行われます。
特に問題となる点がないケースだと、簡単な確認をするだけで、ほんの数分で債権者集会が終わることも珍しくありません。

債権者に対する申し訳なさの気持ちを持たなくていいとは言いませんが、債権者集会という言葉の印象から受けるイメージと実際の手続はだいぶ異なっていると思いますので、これを過度に恐れる必要はないです。

遺言書を書いたら相続人が揉めることになる?

遺言書を書いた方がいいのか書かない方がいいのか、どちらの方が相続人は揉めないのだろうか、という観点で悩まれることがあるかもしれません。

人間関係の問題ですので、弁護士の立場からもどちらが絶対にいいということは言えないものの、基本的には遺言書を書いておいた方がスムーズに相続手続きを行えるといえるかと思います。

遺言書がない場合、相続人は遺産分割協議を行って、誰が何を相続するのかを決めていかなければなりません。

相続人間の仲が良いか悪いかというのもありますが、そもそも相続人同士であまり関わりがなくなっていたりはしないでしょうか。

険悪な関係の人と協議するのも困難ですが、疎遠な人と協議をするというのもストレスがかかるものです。

遺言書を書いた場合であっても、遺留分の問題などが生じる可能性は否定できないものの、基本的に遺言書の内容に沿って相続手続を進めていけばいいということになるので、相続人からすれば遺言書がない場合と比べてやりやすい場合が多いかと思います。

遺言書の内容で相続人が揉めるのではないか、と危惧されている方は、ぜひ遺言書がない場合に揉めずに済むのかという観点から考えていただくとよいかと思います。

生前疎遠だった人の相続人になったとき

生前は特にかかわることもなく疎遠だった親戚が亡くなり、実は自分が相続人だったというご相談を受けることがあります。

典型的なのは、おじ・おばが亡くなったケースで、そのおじ・おばに子がおらず、両親も亡くなっており、おじ・おばのきょうだいにあたる自分の親もすでに亡くなっているようなパターンです。

このような状況になっている場合、おじ・おばとの交流がすでに途絶えてしまっていることは珍しくないかと思います。

相続人になっていることが分かったとき、どのような選択肢があるでしょうか。

亡くなった方に財産がなく、むしろ借金があるようだ、ということであれば相続放棄を検討することが多いでしょう。

ところでこの相続放棄、借金を相続しないために利用するイメージが強いかもしれませんが、それ以外の場面で利用することもあります。

今回のケースのように、生前交流がなくなっていた場合だと、財産の有無や額にかかわらず相続をしたくないという方もいますし、遠方の不動産が相続財産にある場合だと扱いに困るため関わりたくないという方も少なくありません。

また、相続放棄しない場合には他の相続人(この状況ですとやはり関わりがなくなっていることも多いかと思います)とやりとりをしていく必要がありますが、それをしたくないというニーズも多いです。

こうした観点から、相続したらプラスの財産があるかもしれないという状況においても、弁護士に相続放棄の依頼をする方は珍しくありません。

給与所得者再生について

個人が民事再生手続を行う場合、小規模個人再生と給与所得者再生の2種類がありますが、ほとんどのケースで小規模個人再生が利用されています。

その理由はいくつか考えられるものの、最大の理由は可処分所得の2年分が最低弁済額の基準になるという点でしょう。

小規模個人再生だと、総債務額を基準に計算される金額、清算価値のどちらか高い方の金額を返済すればよいということになりますが、給与所得者再生だとこれに加えて可処分所得の2年分という基準があります。

可処分所得はその人の収入、家族構成等により自動的に計算されることになりますが、特に1人暮らしだったり共働きで子供がいなかったりすると比較的高額になりやすく、その場合に給与所得者再生をしても借金が減らないという結果になることもあり、これが給与所得者再生を避ける理由になっています。

しかし、逆に言えば、扶養家族が多い方だと可処分所得が低額になることも少なくありません。

この場合には給与所得者再生を利用しても、小規模個人再生と同額を返済すればよいということになります(可処分所得が少ないのに返済していけるのか、という問題は生じますが。)。

給与所得者再生は、小規模個人再生と異なり各債権者の再生計画への賛否にかかわらず成立させることができる点で強力な手続です。

こうしたメリットがあることを考えると、もう少し給与所得者再生の利用数が多くてもおかしくないのにな、ということは感じます。

詳しくは弁護士法人心へご相談ください。

奨学金の借入れがある場合の債務整理

債務整理を行うにあたって、必ず確認するのが保証人の有無です。

保証人がついている借入れについて、弁護士から債務整理をする旨の連絡をすると、債権者は保証人に対して支払いを求めてきます。

保証人がすでに借金の状況を把握している場合は別として、保証人に請求が飛び火してしまうのを避けたいという要望は多いです。

そのため、保証人がついている借入れについて債務整理の対象から外すことができる任意整理という手続をとることが多くなります。

ところで、クレジットカードでの買い物や消費者金融からの借入れについて、保証人がついているということはあまりありません。

保証人がついている借入れとして最も一般的なのが奨学金ではないかと思います。

奨学金の借入れにあたっては、親族等の保証人を立てるか、機関保証の利用を求められます。

このとき、親族等の保証人を立てる方を選んだ場合は上記問題が生じます。

他方で、機関保証を選択している場合は、“債務整理の事実を身近な保証人に知られてしまう”という問題を避けることができるので、自己破産や個人再生といった手続を選ぶことへの障害がないという事実上の違いがあります。

過払金が発生する条件

テレビCMや新聞広告などで過払金という言葉を見聞きしたことがあると思いますが、

それらの広告では、どのような条件を満たしていると過払金が発生するのかについてあまり言及されておらず、

借入れを行ったり、クレジットカードを利用したことがあったりする人ならば、誰でも過払金が発生している可能性があるといった内容で宣伝がされています。

おそらく、まずは問い合わせをしてほしいということもあるでしょうし、事細かに過払金が発生する条件を広告で説明することは難しいことから、

あえて細かな条件について触れていないものと思われますが、少なくともこれを満たしている必要があるという部分を簡単に記せればと思います。

1 ショッピングの利用では過払い金は出ない

クレジットカードでも過払金が出る可能性がある、という広告が多々あるため、しばしば生じる誤解ですが、

過払金が発生する可能性がある取引は、キャッシングの利用分に限られます。

したがって、クレジットカードを利用したキャッシングであれば過払金の生じる余地がありますが、

ショッピングの利用で過払金が発生することはありません。

2 おおむね平成19年(2007年)頃までに借入れを開始している必要がある

ほとんどの会社が、おおむね平成19年頃に利息制限法の範囲内の利率に変更しているので、

平成19年中までに借入れを始めているかどうかが過払金の発生を左右するポイントとなります。

3 銀行からの借入れに過払金は発生しない

銀行や信用金庫といったところは、古い貸付けであっても法律の範囲内の利率で貸付けを行っているため、過払金はありません。

4 時効の問題

時効の計算方法も、複雑な論点の多いところですが、少なくとも最終返済日から10年が経過していると、過払金が発生していたとしても時効が成立してしまう可能性が高いです。

その他にも多々条件はありますので、ご自身で判断がつかない場合は弁護士に相談してみるとよいでしょう。

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初めての問い合わせ

何かを始めるにあたって、まず最初に問い合わせをするということがあると思いますが、私はこれが億劫なタイプの人間で、いきなり電話を掛けたりすることにはかなり勇気が必要です。

いざ問い合わせてみると、別に何か問題があるでもなく、とんとん拍子に話が進んでいくので、「もっと早く始めていればよかったなぁ」などと思うことも多々あります。

ただ、そうとわかっていてもやっぱり勇気がいるんですよね。

考えてみると、弁護士に初めて問い合わせを行う際の緊張もそれと同じか、むしろそれ以上でしょう(もちろん、もともとそういうことに抵抗がないという方もいらっしゃると思いますが。)。

自分と同じように、初めての問い合わせを行うのが得意ではない方からしたら、これほど億劫な問い合わせもないのだろうなと思うと、最初の問い合わせ方法として、電話だけでなくメールや問い合わせフォームなどのより敷居の低い手段があることの意義は大きいのだろうなと感じます(自分だったらおそらく電話問い合わせの勇気が出ず、メール問い合わせ等を選んでいると思います。)。

問い合わせを受ける側からすると、こうしたことはあまり意識しなくなってしまいがちではありますが、自分が何かしら初めての問い合わせを行ってみると、改めてこんなことを思い起こしました。

家族に秘密で個人再生や自己破産は可能?

家族に知られることなく債務整理を行えるか、という質問は非常に多く、

また、ネット上にある情報でもこの点に関心が高いということがうかがわれます。

債務整理手続の中でも任意整理については、秘密で行うことができるという答えでほぼ固まっていると思いますが、

個人再生や自己破産については、どちらの見解も存在するように思えます。

個人再生や自己破産の場合に回答が難しいのは、まず裁判所によって必要な書類が微妙に異なることが原因としてあります。

例えば、裁判所への申立ての際に、申し立てる本人の収入や財産状況について資料を提出するのはもちろんなのですが、配偶者についてどの程度資料を求めるかは裁判所によって異なるのです。

比較的多くの資料を求める裁判所の場合だと、配偶者に秘密で進めることは事実上難しくなってきますし、逆の場合は秘密で進めることも可能な場合があります。

東京地裁の場合、申立て時点で求められる資料はそこまで細かくないため、実際にご家族に秘密で手続を進められたケースもあります。

もっとも、結果的に秘密で進められることはあるかもしれないですが、申立後に追加で配偶者に関する資料を提出するよう求められることもありますし、今後の生活の再建ということを考えるとそもそもご家族の協力があった方がいいのではないかという考え方もあります。

そのため、家族に秘密で個人再生や自己破産をすることもできるかもしれないですが、秘密で進めることを条件として弁護士に依頼することは難しいのではないかという感覚があります。

「事件」という言葉について

弁護士が依頼を受けるにあたっては、依頼の内容を明らかにする必要があります。

例えば、被った損害について誰かに賠償を求めるのであれば、それは損害賠償請求の依頼ということになり、弁護士の側では「損害賠償請求事件」として分類することになるでしょう。

この「事件」という言葉について、しばしば抵抗を覚える方がいらっしゃるようです。
おそらく「事件」というと、テレビや新聞で報道されるような重大な刑事事件・トラブルを想起してしまうのだと思います。

しかし、「事件」という言葉にそれほどの意味はなく、「事案」や「案件」といった程度の意味しかありません。
離婚の依頼であれば離婚事件ですし、相続の依頼であれば相続事件といった形で表現しているにすぎません。

契約書等に「事件」という記載があると、「先生、私のケースは『事件』になってしまうんですか!?」といった質問を受けることもあり、その都度上述のような説明を行うのですが、それでもやはり「事件」を気にされる方もいるのは事実です。

専門家の使う用語と日常の用語のニュアンスに違いがあるというのは、必ずしも法曹の世界だけに限られないことだと思いますが、今一度一般的な感覚とのずれを意識して、普段から丁寧な説明を心がけたいなと感じます。