日常的にお車を利用されている方は、自賠責保険についてもある程度知っている方が多いと思います。
自賠責保険について、国土交通省のサイトには、「自賠責保険(共済)は、交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的な負担を補てんすることにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としており、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付けられています。」と記載されています。
自賠責保険があることで、被害者の方について、基本的な対人賠償(治療費や慰謝料等の人的損害の賠償)が期待できるわけです。
「基本的な」とあるように、自賠責保険での保障以上の賠償が受けられることは想定されているところで、弁護士にご依頼いただくことで賠償額が変わること等がありますので、交通事故で示談をする前には一度ご相談をおすすめしています。
しかし、事案によっては、自賠責保険の賠償の方が裁判所の算定基準よりも高額になることがあります。
これは、自賠責保険の過失についての取扱いにかかわってきます。
自賠責保険は、7割以上の過失がなければ減額されないルールになっています。
実務では5%刻みで過失割合が決まることが多いですので、言い換えると、65:35までであれば、0:10(無過失の場合)と同じ計算で自賠責保険からの支払が受けられるということになります。
具体的に、治療費30万円、自賠責の計算での慰謝料が50万円、総損害額80万円だった場合、こちらの過失は6割でも、医療機関に支払われた治療費を除く50万円の慰謝料を受け取れます。
他方、弁護士が介入し、裁判所基準で慰謝料が仮に倍の100万円になったとしても、過失相殺により総損害額は130万円×40%=52万円、治療費は医療機関に支払済みだとすると52万円-30万円=22万円ですから、自賠責保険での計算の方が高くなる、ということになります。この場合、弁護士に依頼する場合よりも自賠責保険での計算の方が高くなるため、自賠責保険での賠償を受け取ればよい、ということになりますね。
何事にも例外はあるということかと思います。
例外の例外、なんてものもあるわけですのでなかなか難しいところではありますが。