主婦(主夫)の休業損害

「24時間戦えますか」昔のテレビCMで流れていましたのを覚えています。

以前は一つの価値観だったのかもしれませんが、令和の現在には通じないかと思います。

働くサラリーマン向けのCMだったでしょうが、立ち止まって考えると、主婦や主夫についてはどうなんだろう、と思ったりもします。

特に生まれたばかりの赤ちゃんがいるご家庭では夜泣き等もあるでしょうし、動き回り始めるとそれはそれで目を離せませんから、休む暇などないように思えます。

そう考えると、主婦(主夫)こそ24時間戦っているのではないか、とさえ思えてきます。

弁護士業務でこのあたりが問題になってくるのは、交通事故等の損害賠償の場面です。

損害項目として休業損害というものがあります。

お勤めの方の場合、仕事を休めば給与は減るわけで、何日休んでいくら減ったかは勤務先に確認ができますから(なお、有給休暇の消費も通常損害の対象とされています。)、勤務先がその損害を証明してくれるわけです。

ところが、主婦(主夫)の方が日ごろ行っている家事労働は、それに対して給与の支払い等が発生しているわけではありません。

事故等による負傷で家事が思うようにいかなくなっているのに、「あなたは働いていないので損害はありません」というのもおかしな話です。

この問題に関し、家事従事者についても、実務上その損害は認められており、「主婦休損」等と呼ばれています。

交通事故で弁護士が介入していない事案について、休業損害の項目すらない示談案が保険会社から送られてくるようなこともありますので、家事従事者の方は覚えておかれるとよいかなと思います。