東京弁護士会主催の刑事弁護の研修に参加しました。テーマは接見です。
身柄を拘束された被疑者や被告人は,捜査機関による取調べを受けます。
否認事件等,取調べに対して黙秘することが,有効な防御方法となるケースがあります。
このとき,弁護人が被疑者らに,
「あなたには黙秘権が保証されているので,黙秘権を行使してください。」とか,
「捜査官に質問されても,何も答えないでください。」
などと説明をしても,いざ実行するとなると,簡単にはいきません。
敵陣である密室で,取調べのプロである捜査官に,何時間も,あれやこれや質問されて,ひたすら緘黙するのです。
留置場に何日も拘束され,外界から遮断され,毎日,厳しい取調べを受けていると,誰もが心身ともに疲弊していきます。
弁護人として黙秘権を行使するよう勧めるのであれば,
「取調べ室に入ったら,一言も話さない。最初の挨拶もしない。」
「体調は? 等の世間話にも一切応じない。」
「椅子に座ったら,両手を拳にして,両ひざの上に置く。」
などの,具体的な行動まで提示することが大切である,と学びました。
たしかに,民事事件と同様,依頼人が求めているのは,実行可能な具体的なアドバイスですよね。
うっかり答えてしまわないよう,「捜査官の話を聞かないで,別のことを考える。」という方法も有効かも。
「明日,また来ますね。」など,次回の接見日を具体的に伝えれば,明日までなら何とか持ち堪えられるかも。
いろいろと工夫できそうです。