まだまだ寒い東京ですが、花粉が飛散し始め、鼻がムズムズします。
さて、レンタカー会社から借り受けたレンタカーを運転中、過失運転により歩行者を負傷させた場合、被害者は、レンタカーの運転者に対して損害賠償請求できるだけでなく、レンタカー会社に対しても自動車損害賠償保障法に基づく損害賠償請求が可能です。
レンタカー会社は、原則として、自動車損害賠償保障法3条の「自己のために自動車を運行の用に供する者」にあたると考えられるからです。
リーディングケースとされる判例(昭和46年11月9日最高裁判所第3小法廷判決)をご紹介します。
Y2が、レンタカー会社であるY1から、Y1所有車を借り受けて運転中、Y1の過失(車の整備不良)とY2の過失(前方注視義務違反等)により、歩行者に同車を衝突させ、死亡させた事故につき、歩行者の遺族がY1とY2を被告として損害賠償を求めました。
本件判決は、次の事実関係を列挙した上で、本件事故当時、Y1は、本件自動車に対する運行支配および運行利益を有していたということができると判示し、自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任を認めました。
・Y1は、その所有自動車についての利用申込を受けた場合、免許証により、申込者が小型四輪自動車以上の運転免許を有し、原則として免許取得後六月経過した者であることを確認し、さらに一時停止の励行、変速装置、方向指示器の操作その他交通法規全般について同乗審査をなし、かかる利用資格を有する申込者と自動車貸渡契約を締結したうえで自動車の利用を許すものであること
・利用者は、借受けに際し届け出た予定利用時間、予定走行区域の遵守および走行中生じた不測の事故については大小を問わずY2に連絡するよう義務づけられていること
・料金は、走行粁、使用時間、借受自動車の種類によつて定められ、本件自動車と同種のセドリツク六二年式の場合、使用時間二四時間・制限走行粁三〇〇粁で六〇〇〇円に上ること、燃料代、修理代等は利用者負担とされていること
・使用時間は概ね短期で、料金表上は四八時間が限度とされていること
・Y2は、Y1から以上の約旨のほか、同人が前記利用資格に達していなかつたため、特に、制限走行粁三〇〇粁、山道、坂道を走行しないことを条件にY1所有の本件自動車を借り受けたものであること
・本件事故はY2が本件自動車を運転中惹起したものであること等