交通事故で入院することとなった場合、病院から「個室にしますか、それとも大部屋にしますか」、と聞かれることがあります。
そこで、安易に個室を選ぶと、後々、相手方保険会社から個室の特別使用料が支払われないことがあるので、注意が必要です。
裁判所の考え方では、「医師の指示ないし特別の事情(症状が重篤、空室がなかった等)」があれば、損害賠償の対象となります。
そのため、このような事情がなければ、個室に入院したとしても、その特別使用料は相手方保険会社から支払われず、高額な特別使用料を自己負担しなければならない可能性が高くなります。
個室を使用するかどうか、判断に迷った際は、ひとまず事前に相手方保険会社に確認した方が無難です。
裁判例では、後遺障害等級併合7級の男性につき、個室の特別使用料を認めたもの(東京地判平成28・11・17)、医師の指示はないものの、治療のために口をワイヤーで固定されて話すことができず、食事も流動食が続いていた事案で個室の特別使用料を認めたもの(大阪地判平成27・7・2)があります。
個室の特別使用料については、相手方保険会社と揉めることも少なくないので、弁護士に相談することをお勧めします。