外貌醜状について②

外貌醜状による後遺障害が認定されたときに争点となることが多いのが、逸失利益です。

逸失利益とは、将来失われる収入を補償するものです。

顔、首、頭に傷が残った場合、それが直接の原因となって収入減になることは少ないため、相手方保険会社は逸失利益はないと主張してくることが多いです。

裁判例の傾向としては、外貌醜状によって業務にどれだけの影響が生じたかどうかを重視しています。

裁判例の中には、宿泊施設の仲居(女性、21歳)の口唇下部に線状痕(12級14号)等の後遺障害が残った事案について、線状痕が一見して分かるもので、化粧や髪型等によって目立たなくすることが容易ではないこと、接客業を継続することが困難になったこと等を理由に、逸失利益を認めたものがあります(京都地判令3・5・14自保ジャーナル2101・55)。

また、介護従事者(女性、45歳)の眉間に人目につく3cm以上の線状痕(12級14号)等の後遺障害が残った事案について、介護の仕事は日常的に他人と接し、円満な人間関係の形成等が必要とされること、年齢等に照らし今後転職する可能性も否定できないこと等を理由に、逸失利益を認めたものもあります(横浜地判平26・1・30交民47・1・195)。

外貌醜状による逸失利益については、業務への支障を適切に主張、立証しないと認められないので、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

外貌醜状について①

交通事故によって顔に怪我を負うと、傷が残ってしまうことがあります。

顔などの目立つ箇所に傷跡が残ると、強い精神的苦痛を負うため、後遺障害が認定される可能性があります。

顔、頭、首などの外貌に傷跡が残ってしまうことを外貌醜状といい、傷跡の大きさによって、認定される後遺障害等級が変わります。

自賠責保険では、傷跡が大きい順に、7級12号、9級16号、12級14号が設けられています。

7級12号「外貌に著しい醜状を残すもの」は、頭部に手のひら大(指の部分は含まない)以上の瘢痕または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損、顔面部に鶏卵大面以上の瘢痕または10円銅貨大以上の組織陥没、頚部に手のひら大以上の瘢痕が残った場合に認定されます。


9級16号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」は、顔面部に5センチメートル以上の線状痕が残った場合に認定されます。


12級14号「外貌に醜状を残すもの」は、頭部に鶏卵大以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損、顔面部に10円硬貨以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕、頚部に鶏卵大以上の瘢痕が残った場合に認定されます。

顔、頭、首に傷跡が残りそうな方は、一度、弁護士に後遺障害等級が認定されそうか相談してみるのも良いかもしれません。

交通事故紛争処理センターとは何ですか?

相手方保険会社との示談交渉をしたけれども、どうしても納得のいく金額とならない場合、交通事故紛争処理センターに申立てを行うことがあります。

申立てをすると、紛争処理センターから嘱託された相談担当弁護士が、被害者側と加害者側の保険会社双方から話を聞いて「和解のあっ旋」をします。

被害者側または保険会社があっせん案に同意しない場合、センター内に設置された審査会が「審査」をします。

紛争処理センターに申し立てるメリットの一つとして、加害者側の保険会社は、審査会の出した決定には従わなければならないけれども、被害者側は従わなくても良い、ということがあります。

審査会の出した金額に被害者側が応じれば、加害者側の保険会社はその金額を支払わなければなりません。

その他のメリットとしては、訴訟する場合と比べて早く解決することが挙げられます。

訴訟提起をすると、解決まで少なくとも半年から1年は掛かりますが、紛争処理センターに申し立てると、3、4か月で解決になることも少なくないです。

審査会まで行くとそれ以上掛かりますが、多くのケースでは「和解のあっ旋」の段階で解決となります。

示談交渉の結果に納得いかないときには、紛争処理センターへの申立ても検討することをお勧めします。

鎖骨骨折の後遺障害③

鎖骨骨折後に残存した後遺障害について、前回からの続きを説明いたします。

認定され得る後遺障害の3つ目は、疼痛や痺れを原因とするものです。

鎖骨に疼痛や痺れが残存した場合には、後遺障害等級14級9号、12級13号が認定される可能性があります。

疼痛や痺れは鎖骨の変形に派生して生じると考えられるため、鎖骨の変形を原因とした後遺障害が認定されたときには、疼痛や痺れを原因とした後遺障害は単独では認定されません。

疼痛や痺れを裏付けるだけの画像所見がある場合には12級13号、そのような画像所見がない場合には14級9号が認定される可能性があります。

画像所見の有無によって等級が変わるため、適切なタイミングでレントゲン、MRIを撮影することが大切です。

遅くとも後遺障害申請をする前には、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

疼痛や痺れを原因とする後遺障害が認定されたときに問題になり易いのが、逸失利益です。

一般的に、疼痛や痺れは期間の経過によって慣れたり、緩和が期待できるとされているため、労働能力喪失期間は制限されることが多いです。

裁判例では、14級9号の場合には5年程度、12級13号の場合には10年程度とされる傾向にあります。

逸失利益が争点となったときには、事故後の源泉徴収票、確定申告書等によって収入が減少したと主張することや、仮に収入が減少していなくても、陳述書等によって特段の努力で収入を維持していると主張することが大切です。

鎖骨骨折の後遺障害②

鎖骨骨折後に残存した後遺障害について、前回からの続きをご説明いたします。

認定され得る後遺障害の2つ目は、肩関節の可動域制限です。

鎖骨が完全には付かないことによって、肩関節の可動域が制限されることがあります。

そのような制限がされたときには、制限が軽い順に、後遺障害等級12級6号、10級10号、8級6号が認定される可能性があります。

12級6号は、肩関節の可動域が健側の可動域角度の4分の3以下に制限されたとき、10級10号は、2分の1以下に制限されたとき、8級6号は、肩関節がまったく可動しないか、これに近い状態のときに認定されます。

また、可動域制限を理由とする後遺障害が認定されるためには、実際に可動域が制限されているだけでなく、それを裏付けるだけの画像所見も必要とされています。

そのため、たとえ可動域が制限されていたとしても、レントゲンやMRI画像上、異常が見当たらないときには、後遺障害は認定されないことになります。

ご不安なときには、弁護士に依頼して後遺障害申請することもお勧めです。

可動域制限が残ったときには、画像所見の有無が問題となることが多いため、レントゲン画像、MRI画像はしっかり撮っておく必要があります。

3つ目の後遺障害については、次回ご説明いたします。

鎖骨骨折の後遺障害①

交通事故によって鎖骨を骨折した場合、通院治療を続けたけれども、骨が元通りには付かずに症状固定となってしまうことがあります。

鎖骨が変形したり、肩が動きにくくなったり、痛みが取れない等の症状が残ることがあります。

残存した後遺症については、加害者の加入する自賠責保険に後遺障害認定申請をすることになります。

認定され得る後遺障害は、大きく分けて3つあります。

一つ目は、「鎖骨に著しい変形を残す」場合に認定される12級5号です。

12級5号は、裸体になったときに、変形や欠損が明らかに分かる場合に認定されます。

変形や欠損が明らかかどうかは、原則は自賠責調査事務所での面接調査によって判断されますが、写真によって判断されることもあります。

鎖骨の変形障害が認定されたときに問題になり易いのが、逸失利益です。

一般的に、鎖骨が変形しただけでは、労働能力は減少しにくいとされているため、逸失利益は支払えないと主張してくる保険会社は少なくないです。

そのため、逸失利益が争点となったときには、弁護士に依頼するなどして、事故後の源泉徴収票や確定申告書や陳述書等によって、労働能力が減少していることを証明することが大切です。

2つ目以降は次回説明いたします。

交通事故の治療と健康保険

交通事故に遭って通院治療を受ける際に、保険会社から健康保険を使ってほしいと言われることがあります。

ただ、病院に健康保険を使いたいと言っても、「交通事故で健康保険は使えません」と言われることは少なくありません。

このような場合、どうしたら良いのでしょうか。

基本的には、交通事故の治療であっても健康保険は使えるため、病院側と良く相談した方がよいです。

もっとも、健康保険を使うと、保険の対象となる治療しか受けられないというデメリットがあるため、それも踏まえて、健康保険を使うかどうかを検討すべきです。

また、ご自身の過失が大きく、かつ治療費が高額になるときには、健康保険を使うことを検討した方が良いです。

例えば、過失割合が4:6、健康保険を使用しない治療費が200万円、健康保険を使用した治療費が60万円の場合で考えてみましょう。

健康保険を使用しない場合、加害者に請求できる治療費は120万円となり(200万円×0.6)、被害者が負担する治療費は80万円となります(200万円×0.4)。

これに対して、健康保険を使用する場合、加害者に請求できる治療費は36万円(60万円×0.6)、被害者が負担する治療費は24万円となります(60万円×0.4)。

健康保険を使った方が良いかどうかは、様々な要素を考慮しなければ判断が難しいため、弁護士などの専門家に相談するのも良いでしょう。

交通事故で通院するタイミング

交通事故で打撲・捻挫といった怪我を負ったけれども、仕事が忙しくて、初診までの期間が空いてしまうという方が少なからずおられます。

病院での待ち時間を考えると、なかなか通院しにくいというのは、やむを得ないようにも思えます。

ただ、事故から初診までの期間が空くと、本当は痛みが強いにもかかわらず、相手方保険会社からは「病院に行くほどの痛みではなかったのだ」と判断され、軽症とみなされてしまう危険があります。

打撲・捻挫といった怪我は、レントゲンやMRI画像に異常の原因が写りにくいため、第三者から見て痛みの程度がわかりにくいです。

どれだけ痛いかどうかは、車の壊れ方、事故状況、事故から初診までの期間、通院頻度、治療内容などの周辺事情から推測せざるを得ません。

そうすると、事故から初診までの期間が空いてしまうと、本当は痛みが強かったとしても、そこまでの痛みではないと判断されてしまう可能性があります。

そのため、交通事故に遭って、痛みや痺れを少しでも感じたら、可能な限り早いタイミングで病院に行った方が良いです。

病院にはいつまで通ってよいのか、何回くらい通って良いのか、どのような検査を受けるべきか、分からないことは多くあるかと思います。

通院についてご不安な方は、早めに弁護士などの専門家に相談することもお勧めです。

公務員でも逸失利益は支払われますか?

ご相談者様から「後遺障害が認定されましたが、相手方保険会社から公務員であることを理由に逸失利益は支払えないと言われたが、どうにかならないか?」とご質問をいただくことがあります。

結論として、現時点で収入の減少がないとしても、将来の昇進、昇級、転職等につき不利益を受ける可能性があること等を立証できれば、逸失利益は認められます。

逸失利益とは、後遺障害によって将来失われるであろう収入を補償するものです。

公務員の場合、身分保障が手厚いため、後遺障害が残ったとしても収入に影響がないことが多いです。

そのため、相手方保険会社は、公務員である場合には逸失利益の支払いに応じないことがあります。

しかし、裁判例では、減収を防ぐために本人が特別の努力をしている場合、同僚が援助している場合、将来の昇進、昇級、転職等につき不利益を受ける可能性がある場合には、逸失利益を認める傾向にあります。

そのため、例えば、医療記録、本人の陳述書、同僚の陳述書などの証拠によって、本人が特別の努力をしていること、同僚が援助していること、将来不利益を受ける可能性があること等を立証できれば、逸失利益が認められる可能性があります。

交通事故でお困りの方は、一度、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

会社役員ですが、休業損害は支払われますか?

ご相談者様から「会社役員ですが、事故によって仕事を休んでいます。休業損害は支払われますか?」という質問をいただくことがあります。

結論として、会社役員の場合、休業損害が認められないことが多いですが、そうでないことも少なからずあります。

休業損害が認められるためには、事故によって収入が減少したことが必要です。

事業年度の途中で役員報酬を減額すると、税法上不利になる可能性があるため、なかなか減額できないことも多いです。

そうすると、収入が減少していないことを理由に、休業損害が認められません。

もっとも、会社としては、役員が仕事に出れない間も、役員報酬を支払わなければならないため、会社に損害が生じています。

小規模な会社であれば、役員の休業中、余計な外注費を支払わなければならないこともあります。

このような会社に生じた損害(間接損害といいます)については、原則、賠償の対象とはされていません。

ただし、判例によれば、①会社代表者に実権が集中しており、②代表者に代替性がなく、③代表者と会社が経済的に一体である場合には、会社に生じた損害も賠償の対象と認めています(最判43年11月15日・民集22巻12号2614頁)。

この判例によれば、かなり限定的にはなりますが、会社に生じた損害も賠償される余地があります。

交通事故でお困りの方は、一度、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

保険会社から代車費用は支払えないと言われましたが、本当ですか?

ご相談者様から「今回は双方に過失のある事故だから、代車費用は相手方保険会社に請求できないと自分の保険会社に言われたが、本当か?」と質問をいただくことがあります。

結論として、双方に過失があるからといって、代車費用の請求ができないということはありません。

代車費用については、車の修理に必要な期間、または車の買替に必要な期間分、認められます。

一般的には、修理する場合には2週間程度、買い替えをする場合には1か月程度、認められます。

部品の調達などの必要があるときには、長期間認められることもあります。

ご自身に過失があり、かつ、代車費用特約に加入している場合には、その特約を使って代車を借りた方が良いです。

代車費用特約を使わないと、過失割合に応じた代車費用しか支払われないからです。

例えば、過失割合が2:8で、1日3000円の代車を10日借りたという場合、代車費用特約を使えば、ご自身の保険会社が全額の支払いをしてくれます。

しかし、代車費用特約を使わずに、2万4000円(1日3000円×10日×80%)しか相手方保険会社に請求できないことになります。

交通事故に関してお困りの方は、一度、弁護士などの専門家にご相談いただくことをお勧めします。

人身事故には切り替えた方が良いですか?

ご相談者様から「加害者から警察に人身事故の届出はしないでほしいと言われているけれども、どうしたら良いですか?」という相談をいただくことがあります。

人身事故に切り替えることには、メリットとデメリットがありますので、それを踏まえて判断するのが良いです。

メリットとしては、加害者に対して、免許停止・取消といった行政処分、罰金・懲役刑といった刑事処分を与えることができる可能性があることです。

デメリットとしては、人身事故に切り替えないと、「その程度の事故なのだ」と後遺障害の審査担当者などから判断されてしまう可能性があることです。

被害者自身にも過失がある場合には、被害者にも行政処分、刑事処分がされる可能性があります。

また、人身事故に切り替えるとなると、事故現場での実況見分に立ち会わなければならないことが多いので、余計な時間が取られることも、デメリットとして考えられます。

なお、人身事故に切り替えないと、自賠責保険から治療費が支払われないと誤解されている方も多いですが、そのようなことはありません。

人身事故に切り替えていなくても、治療の必要性が認められる限り、自賠責保険から治療費は支払われます。

交通事故で何かお困りの方は、一度、弁護士などの専門家にご相談いただくのが良いと思います。

加害者が2人いる場合、どちらの自賠責保険が使えるの?

加害者が複数いる場合、それぞれの自賠責保険を使うことができます。

例えば、「車の助手席に乗っているときに、車同士の衝突事故に遭いました。それぞれの運転手の過失割合は5:5。」というケースでは、助手席に乗っていた人は、それぞれの運転手の加入する自賠責保険を使うことができます。

それぞれの運転手との関係で、助手席に乗っていた人は被害者という立場になるからです。

自賠責保険の傷害部分の上限は120万円ですが、2つの自賠責保険が使えるということになると、上限が240万円となります。

自賠責保険が1つしか使えないとなると、仮に治療費だけで120万円掛かったしまった場合には、自賠責保険から治療費以外の慰謝料、休業損害、交通費などは支払われないことになります。

しかし、自賠責保険が2つ使えるとなると、治療費だけで120万円掛かってしまったとしても、それ以外の慰謝料、休業損害、交通費などはもう1つの自賠責保険から支払われます。

そのため、重傷を負ってしまったとしても、自賠責保険の枠をそこまで気にすることなく、治療を受けることができます。

どの保険が使えるかどうかは、専門的なことになるので、個人ではなかなか分からないかと思います。

交通事故でお悩みの方は、ぜひ一度、弁護士に相談することをお勧めします。

顔に傷が残ってしまいましたが、これは後遺障害になりますか?

交通事故によって顔に傷が残った場合、外貌醜状として後遺障害が認定される可能性があります。

傷の大きさに応じて、12級14号、9級16号、7級12号が認定されることになります。

顔に10円硬貨より大きな瘢痕が残った場合、または3センチ以上の線状痕が残った場合には、12級14号が認定されます。

顔に5センチ以上の線状痕が残った場合には、9級16号が認定されます。

顔に鶏卵大以上の瘢痕が残った場合、または、10円硬貨より大きな組織陥没が残った場合には、7級12号が認定されます。

傷の大きさについては、基本的には、自賠責保険の審査担当者が被害者と面接をして、判断することになります。

後遺障害申請をした後、自賠責調査事務所から面接の案内が来るので、日程調整のうえ、面接をします。

ただ、コロナの影響により、写真だけで認定するケースもあります。

どのように審査するかどうかは、後遺障害申請をした後に、自賠責保険が決めることになります。

外貌醜状で後遺障害が認定された場合、逸失利益を巡って相手方保険会社と争いになることが多いです。

顔に傷が残っても、労働能力に影響が生じないことも多いからです。

外貌醜状でお困りの方は、一度、弁護士に相談することをお勧めします。

後遺障害について弁護士をお探しの方はこちらをご覧ください。

車両時価額が低いから、修理費全額は支払えないと言われました。

ご相談者様から「相手方保険会社から車両の時価額が低いので、修理費全額は支払えないと言われました。どうすればいいですか?」という質問をいただくことが多いです。

事故によって車両が損傷した場合、「修理費、または時価額と買替諸費用を足した金額のいずれか低い方」が、賠償の対象となります。

例えば、修理費50万円、時価額が100万円であれば、50万円が賠償の対象となります。

これに対して、修理費100万円、時価額50万円、買替諸費用10万円であれば、60万円が賠償の対象となります。

※買替諸費用については、賠償の対象となる項目と、ならない項目があります。裁判例では、すべての項目が賠償の対象とはされていません。

相手方保険会社から「時価額は●円です」と言われたとしても、その金額が妥当かどうかについては、調査した方が良いです。

調査の結果、時価額がもっと高いことが分かれば、増額交渉が可能です。

また、相手方保険会社は買替諸費用も賠償の対象になると言わないことが多いため、買い替え予定の車両の見積書などを相手方保険会社に提出して、買替諸費用の支払い交渉をすることもあります。

物損の納得のいかない方は、一度、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

後遺障害の認定は誰がするのですか?

交通事故で怪我をして後遺症が残ってしまった場合、まずは、加害者の加入する自賠責保険が後遺障害の認定をします。

実際には、損害保険料率算出機構が後遺障害の有無を調査して、その調査結果に基づいて、自賠責保険が後遺障害の認定をすることになります。

自賠責保険の判断に不服がある場合、自賠責保険に対して異議申し立てをすることができます。

異議申立てをすると、自賠責保険がもう一度審査をすることになります。

紛争処理機構という調停機関に申し立てをすることもできます。

紛争処理機構では、自賠責保険の判断に誤りがあったかどうか、自賠責保険が用いた資料によって判断することになります。

最終的には、加害者に対して裁判を起こして、裁判所に後遺障害の認定をしてもらうことになります。

もっとも、裁判所は自賠責保険の判断を尊重する傾向にあるため、裁判所で自賠責保険の判断を覆すことは、なかなか難しいです。

そのため、自賠責保険で適切な後遺障害認定を受けておくのが大切です。

当法人には、損害保険料率算出機構の元職員などの後遺障害認定に精通したスタッフや、交通事故に精通した弁護士が多数在籍しております。

後遺障害についてお困りの方は、一度、当法人にお問合せいただければと思います。

痛みが消えないのですが、どのような補償がされますか?

ご相談者様から「事故後6か月通院したけれども、痛みが消えません。どのような補償がされますか?」という質問をよくいただきます。

怪我の程度にもよりますが、一般的に、事故から6か月程度通院治療をしたけれども、痛みが治らないときには、症状固定と判断されます。

そのうえで、自賠責保険に後遺障害申請をすることになります。

認定される可能性のある後遺障害等級は、14級9号、12級13号です。

「局部に神経症状を残すもの」に該当するときは14級9号、「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当するときは12級13号が認定されます。

痛みの原因がレントゲン、MRI、CT画像などで証明できなければ、12級13号には該当しません。

画像からは痛みの原因は証明できないけれども、事故態様や治療経過などから、痛みが残存することが医学的に説明できる場合には、14級9号に該当します。

14級9号に該当しないとなると、後遺障害は非該当となります。

事故当初から適切な治療、検査を受けていないと、本当は一生残るような痛みがあるとしても、14級9号にすら該当しないと判断されてしまうことも多いです。

そのため、交通事故に遭ってしまった場合には、早いタイミングで弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

交通事故に関する弁護士法人心東京法律事務所のサイトはこちら

保険会社から症状固定と言われましたが、どういうことですか?

ご相談者様から「相手方保険会社から、もう症状固定だから治療費の支払いを打ち切ると言われた。どうしたら良いのか?」という質問をいただくことがあります。

症状固定とは、これ以上治療をしても、改善が望めないような状態のことをいいます。

相手方保険会社は、基本的には、症状固定日までの治療費を支払う義務があるとされています。

症状固定以降の治療費は支払わなくてもよいとされています。

症状固定日は誰が決めるかというと、最終的には裁判所が決めることになりますが、基本的には主治医の判断が重視されます。

相手方保険会社が症状固定日を決めるわけではありません。

そのため、保険会社からもう症状固定と言われた場合には、主治医の意見を聞いたうえで、今後の対応方法を決めた方が良いです。

医師がまだ症状固定ではないと言ったとしても、相手方保険会社が一方的に治療費の支払いを打ち切ることもあります。

そのようなときに、通院を止めてしまうと、「治ったから通院を止めたのだ」と判断されてしまう可能性があるため、痛みがある間は自己負担にはなりますが、通院を続けた方が良いです。

症状固定についてお困りの方は、一度、弁護士に相談することをお勧めします。

保険会社が休業損害を支払ってくれませんが、どうしたら良いでしょうか?

ご相談者様から「事故で3か月仕事を休んだけれども、相手方保険会社からは2か月分しか支払えないと言われた。どうしたら良いか?」という質問をいただくことがあります。

事故後、仕事を休んだからといって、必ずしも休業損害が支払われるわけではありません。

休業する必要があった場合に限って、休業損害は支払われます。

例えば、トラック運転手の仕事をしていたけれども、事故で足を骨折して、骨が付くまで3か月仕事を休んだというケースでは、その期間中、休業する必要があったと判断される可能性は高いです。

ただ、打撲・捻挫といった他覚的所見のない怪我の場合、痛みの原因が第三者からは分からないため、どれだけ休業が必要であったかどうかについて、相手方保険会社と争いになることが多いです。

このような怪我の場合、事故状況、車両の損傷の程度、通院状況などを総合的に考慮して、どこまで休業が必要であったか判断します。

例えば、車両が大破した、生身で車両にぶつけられて転倒した、主治医が休業が必要と述べている、といったような場合には、休業が必要と認められやすい傾向にあります。

そのため、休業の必要性を巡って相手方保険会社と争いになったときには、事故状況に関する資料、医師の意見などを踏まえて、相手方保険会社と交渉することが多いです。

ご自身では対応しきれないような場合には、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

過失割合はどのように決まるのか?

ご相談者様から「交通事故の過失割合は警察が決めるのですか?」とか「過失割合は保険会社が決めるのですか?」という質問をよくいただきます。

示談交渉の段階では、過失割合は被害者側と加害者側との話し合いで決めることになります。

例えば、被害者と相手方保険会社の双方が、2:8で良いと合意すれば、この過失割合で示談が成立することになります。

過失割合は、警察や保険会社が一方的に決めるわけではありません。

あくまでも、話し合いで決めることになります。

もっとも、何の基準もなく話し合いをしても、なかなか話がまとまらないため、通常は、裁判所の考え方を基に話し合いをします。

裁判所は、事故状況に応じて類型的に基本的過失割合を決めます。

そのうえで、個々の事情に応じて、基本的過失割合を修正します。

例えば、車で道路を直進中に、進路変更してきた車にぶつけられたという類型の事故では、基本的過失割合は30:70とされています。

ただ、進路変更車が合図を出していなかった場合、進路変更車の過失は20%増加するとされているので、過失割合は10:90と修正されます。

示談交渉の段階でも、このような裁判所の考え方を基に、被害者側と加害者側とで話し合いをしていきます。

裁判所がどのように過失割合を決めているかどうかは、個人で調べてもなかなか分からないと思います。

過失割合で困ったときには、交通事故に精通した弁護士に相談することをお勧めします。