仕事に復帰すると治療を受けられなくなるのですか?

交通事故の被害者の方から「そろそろ仕事に復帰しようと考えているのですが、復帰すると治療を終えなければならないのですか?」とご相談いただくことがあります。

結論として、通常そのようなことはございません。

休業の必要性の認められる期間と、治療の認められる期間は異なります。

治療の必要性の認められる期間の方が、休業の必要性の認められる期間より長いのが通常です。

仕事に復帰できる程回復したとしても、まだまだ痛みが続き、治療が必要になることは多いです。

例えば、事故で骨折をして2か月間仕事を休んだけれども、仕事に復帰してから4か月間は、仕事をしながら通院をする

、というようなことがあります。

そのため、仕事に復帰したとしても、治療を終えなければならないということは、通常ございません。

仕事に復帰すると治療費が支払われなくなると誤解して、休業期間が長くなり、相手方保険会社と休業の必要性を巡ってトラブルになったというケースがあります。

そのようなトラブルにならないためにも、事故から早いタイミングで弁護士などの専門家に相談し、正確な知識を身につけておくことをお勧めします。

当法人では、交通事故のご相談については、無料で対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

加害者が飲酒運転でしたが、何か影響はありますか?

最近は飲酒運転による罰則が強化され、現在では飲酒運転は悪質な犯罪行為であると世間では認知されているように思います。

ただ、それでも飲酒運転は後を絶たず、被害者の方から「飲酒運転の自動車に当てられた」というご相談をいただくことは一定数あります。

 

その際にご相談者様が気にすることが多いのが、飲酒運転でも加害者の任意保険は使用できるのか、という点です。

この点については、加害者が飲酒運転であっても、被害者保護の観点から、通常、対人賠償保険や対物賠償保険は使用できるとされています。

そのため、被害者の補償については、加害者の加入する対人賠償保険と対物賠償保険からされることになります。

 

加害者の加入する対人賠償保険からは、入通院慰謝料が支払われることになるのですが、加害者が飲酒運転の場合、慰謝料の金額が増額になることがあります。

裁判例の中には、裁判所基準で計算した慰謝料から20%増加させたものや、30%増加させたものもあります。

裁判所は、加害者が飲酒運転をしていた、無免許であった、ひき逃げをした等の著しく不誠実な態度があるような場合には、慰謝料の増額を認める傾向にあります。

 

加害者が飲酒運転をしていた等、事故態様が酷い場合には、特にしっかりとした賠償をさせる必要があるかと思いますので、早いタイミングで弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

警察提出用の診断書に全治1週間と書いてますが、それ以降は治療できますか?

交通事故に遭って病院に行くと、病院から「警察に提出してください」と言われて診断書をもらうのが通常です。

この診断書を警察に提出することによって、人身事故への切り替えをすることができます。

ただ、この診断書には、「全治1週間」とか「全治10日」などと短い期間が書かれていることが通常です。

この記載だけ見ると、その期間を過ぎたら治療は受けられないようにも思えます。

しかし、実際には、必ずしもそのようなことはありません。

打撲、捻挫であっても事故から3か月程度の治療が必要になることもありますし、症状によっては6か月の治療が必要となることもあります。

治療の必要性、相当性が認められれば、相手方保険会社は、警察提出用診断書に記載された「全治1週間」「全治10日」などの期間に限らず、治療費の支払いに応じてきます。

そのため、警察提出用の診断書に記載された全治までの期間は、あまり気にせずにご通院いただくのが良いかと思います。

治療費の支払いを巡っては、よく相手方保険会社と揉めてしまうことがあります。

出来れば揉める前に弁護士などの専門家に相談し、揉めてしまわないよう、適切なアドバイスを受けることが大事です。

交通事故に遭ってしまったからは、早いタイミングで相談することをお勧めします。

後遺障害診断書の内容に誤りがある場合,どうすればよいか?

後遺障害申請をする際には,後遺障害診断書を添付資料として自賠責保険に提出する必要があります。

後遺障害診断書は,通常,症状固定のタイミングで主治医に書いてもらうことになります。

 

ただ,主治医に後遺障害診断書を書いてもらったけれども,その中身をチェックすると,明らかな誤記があったり,被害者の自覚症状が正確に記載されていないこともあります。

 

そのような場合には,主治医に後遺障害診断書の訂正を依頼することが多いです。

弁護士が主治医に書面や電話で訂正の依頼をすることもありますし,依頼者を通して訂正を依頼することもあります。

 

明らかな誤りであれば,訂正に応じていただけることが多いです。

例えば,事故日の誤り,通院日数,通院期間の誤り等については,比較的訂正に応じていただけることが多いです。

 

しかし,それ以外の事項(症状固定日,検査結果,今後症状が残存するか否かの見通し等)については,訂正に応じていただけないことも多いです。

 

後遺障害診断書を添付しないと自賠責保険は後遺障害の審査を開始しないので,どうしても訂正に応じていただけない場合には,新たに後遺障害診断書を作成していただける医師を探すか,そのまま提出するしか方法がありません。

もっとも,主治医でないにもかかわらず,後遺障害診断書の作成に応じていただける医師は少ないというのが現状です。

 

そのため,主治医とはしっかりとコミュニケーションを取り,最初からしっかりした後遺障害診断書を書いていただけるようにすることが大切です。

後遺障害の申請でお困りの方は,一度,弁護士に相談することをおすすめします。

加害者が自賠責保険にしか加入していない場合、物損はどうなるのか?

加害者が任意保険に加入しておらず、自賠責保険にしか加入していない場合、自動車の修理費、代車費用、レッカー代などの物損はどのように賠償されるのでしょうか。

 

このような場合には、①ご自身の加入する車両保険、代車費用特約、ロードサービス費用特約を使用する、②加害者本人に請求する、という方法を取るのが通常です。

自賠責保険は人損を補償するための保険であり、物損については支払いの対象外となるので、使用できません。

 

①のメリットは、ご自身の任意保険会社から修理費、代車費用、レッカー費用が支払われるため、加害者と交渉することなく、支払いが得られることにあります。

ただし、車両保険を使用すると、通常、等級がダウンしてしまうため、翌年以降の保険料が上がってしまうというデメリットがあります。

 

②のメリットは、ご自身の車両保険は使用しないため、翌年以降の保険料には影響がないことにあります。

ただし、加害者と直接交渉して、修理費などの支払いを求めなければならないので、被害者の方の負担は大きいです。

また、加害者が無資力であったり、行方不明となったような場合には、結局支払いが得られず、泣き寝入りになってしまうこともあります。

そのような場合には、弁護士に依頼しても、なかかな結果が出ないこともあります。

加害者が自賠責保険にしか加入していない場合、治療はどうすれば良いのか?

「加害者が自賠責保険にしか入っていないようなのですが、治療はどうすれば良いですか?」というご相談をいただくことがあります。

 

損害保険料率算出機構「自動車保険の概況 2019年度版」によれば、対人賠償の加入率は、自動車保険と自動車共済を合計すると88.2%です。

約10台に1台は対人賠償に加入していないというのは、結構高い割合だと思います。

 

加害者が自賠責保険にしか加入していない場合には、①ご自身の加入する人身傷害保険を使用する、②加害者の加入する自賠責保険に被害者請求をする、という方法を取るのが一般的です。

 

①を使用するメリットは、ご自身の加入する任意保険会社が直接医療機関に治療費の支払いをしてくれることが多いため、医療機関の窓口での負担なく通院できることです。

ただし、人身傷害保険を使用すると、任意保険会社からは健康保険を使ってほしいと言われることもあり、健康保険を使用する場合には、窓口負担が出るのが通常です。

②自賠責保険に被害者請求をするメリットは、通院期間が長期となりそうな場合であっても、保険会社から治療費の支払いの打ち切りを打診されないことにあります。

人身傷害保険を使用して、任意保険会社から直接医療機関に治療費を支払ってもらう場合には、任意保険会社から治療費の支払いの打ち切りを打診されることがありますが、②の方法では、自賠責保険からそのような打診をされることは通常ありません。

 

加害者が自賠責保険にしか加入していない場合には、今後どのように進めていけばよいのか分からないことも多いかと思いますので、そのような場合には、弁護士などの専門家にご相談いただくのが良いでしょう。

公務員の休業損害

休業損害は、通常、交通事故によって休業を余儀なくされ、それによって減給が生じた場合に認められます。

有給休暇を使用した場合にも認められます。

公務員の場合には、病気休暇制度や休職制度を利用することにより、減給が生じなかったり、有給を使用しなくても休業ができることがあります。

そのため、病気休暇制度を使用した場合には、基本的には休業損害は発生しないようにも思えます。

ただし、病気休暇中は、基本給と一定の諸手当は支払われますが、付加給は支払われないのが通常なので、付加給分の休業損害を請求できる可能性があります。

また、休職制度を利用した場合には、通常、給与の80%しか支払われないため、差額を休業損害として請求できる可能性があります。

さらに、休業が長期にわたると賞与が減少することもあり、減少した賞与相当額についても、必要性・相当性が認められれば休業損害として請求できる余地があります。

このように、公務員の休業損害については、一般の会社員では生じない問題が生じることがあります。

制度をよく理解していない保険会社の担当に当たると、本来は支払われるはずの休業損害が支払われないまま示談になってしまうことも少なくありません。

そうならないように、休業損害で気になることがあれば、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

保険会社から送られてきた同意書にサインする必要はあるのか?

交通事故の被害に遭い、病院に通うことになると、通常、相手方保険会社から同意書という書類が送られてきます。

この同意書にサインしても良いのかどうか、質問をいただくことがよくあります。

この同意書は、病院が相手方保険会社に被害者の診断書、診療報酬明細書などの個人情報を提供するために必要となります。

相手方保険会社が病院に治療費を支払う際には、どのような怪我により、どのような治療を受けているのか、いつ治療を受けたのか確認をします。

通常、保険会社はその確認ができなければ、必要かつ相当な治療であったのか確認が取れないため、病院に治療費を支払いません。

そのため、相手方保険会社から病院に直接治療費を支払ってもらいたいということであれば、同意書にサインするのが良いでしょう。

どうしても同意書にサインしたくないということであれば、被害者の方が直接病院の窓口で治療費を支払うことにより、通院することはできます。

もっとも、被害者の方が病院の窓口で治療費を支払った後、その費用の支払いを相手方保険会社に求めたとしても、通常、相手方保険会社は治療内容が分からず、治療の必要性・相当性を判断できないことを理由に支払いには応じてきません。

結局、相手方保険会社から治療費等の支払いを得るためには、相手方保険会社に診療情報を提供する必要が出てきます。

治療費を巡っては、保険会社とトラブルになることが多いので、何か困ったことがあれば弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。

症状固定となった後は病院に通っていいのか?

痛みや痺れが残存したまま症状固定となった場合、その後も病院に通うことはできます。

ただし、原則として症状固定日までに掛かった治療費が損害賠償の対象となるため、症状固定以降に病院に通ったとしても、その費用は賠償の対象とはなりません。

健康保険を使用すれば費用を抑えることができるため、一般的には、症状固定後は健康保険を使用して病院に通う方が多いです。

整骨院や接骨院については、症状固定後は交通事故としての治療を健康保険を使って受けることはできないため、自由診療となります。

後遺障害の申請をする場合には、症状固定後にも自己負担で医療機関に通っていることが、痛みや痺れが残存していることを立証するための一つの要素となります。

自己負担で医療機関に通っている場合には、その領収書はしっかり保管していただくことをお勧めします。

特に、打撲や捻挫といった他覚的所見のない怪我については、レントゲンやMRI画像に異常が写らないことがほとんどなので、症状固定後の医療機関の領収書はより大事となります。

適切な後遺障害の認定を受けるためには、事故に遭ってから早いタイミングで、弁護士などの専門家から通院するうえでの注意点を聞くことが大切です。

自賠責と労災の後遺障害認定基準は同じですか?

会社員が業務中、通勤中に交通事故に遭ってしまった場合には、加害者の加入する自賠責保険と労災保険のいずれにも後遺障害申請ができます。

自賠責保険の後遺障害等級は1から14級までありますが、これは労災の障害補償の後遺障害等級表に準じた内容となっているため、自賠責保険と労災保険の後遺障害の認定基準は、基本的には同じです。

 

しかし、実際に自賠責保険と労災保険のいずれにも後遺障害申請をすると、認定される等級が一致しないことや、一方が認定されたけれども他方が非該当になった、というケースがあります。

その理由はいくつかありますが、大きな理由として審査方法の違いがあります。

自賠責保険が基本的に書面審査なのに対して、労災保険は医師が面談して審査することになります。

このような審査方法の違いにより、認定結果に違いが出てくることも多いと考えられます。

業務中や通勤中の交通事故については、自賠責保険と労災保険が絡んでくるため、どちらを使用した方がより有利に進めることができるのか、判断に悩まれる方も多いかと思います。

このようなことでお困りの方は、早いタイミングで一度、弁護士などの専門家にご相談いただいた方が良いかもしれません。

被害者請求と加害者請求って何ですか?

自賠責保険に保険金の支払いを求める方法については、被害者請求と加害者請求の2つがあります。

被害者請求とは、交通事故の被害者が直接自賠責保険に支払いを求める方法です。

これに対して、加害者請求とは、交通事故の加害者側が自賠責保険に支払いを求める方法です。

加害者請求をするためには、加害者側は、被害者に治療費などの賠償金を支払う必要があります。

被害者に支払った後でないと、自賠責保険に支払いを求めることができないとされています。

加害者請求の具体例を挙げると、交通事故に遭った場合、通常、加害者の加入する任意保険会社が医療機関に直接治療費を支払ったり、被害者に休業損害を支払ったりしています。

その後、任意保険会社は、加害者の加入する自賠責保険に対し、治療費や休業損害などの支払いを求めます。

このように、加害者側が治療費等の支払いをした後に、自賠責保険にその分の支払いを求めることを、加害者請求といいます。

被害者請求と加害者請求のどちらが良いかどうかは、事案によって異なります。

被害者の過失割合がある程度大きいために、加害者側の任意保険会社が治療費の支払い等に応じないこともあります。

自賠責保険の仕組みについて、詳しく理解している方は少ないかと思いますので、何かお困りごとがございましたら、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

自分の入っている自賠責保険は使えるのか?

「自分が所有している車を友人が運転して、自分は助手席に座っているときに、友人が事故を起こしました。友人にも過失があるので、自分の自賠責保険に後遺障害申請はできますか?」という質問をいただくことがあります。

この場合、友人に過失があったとしても、ご自身の自賠責保険に後遺障害申請をすることができない可能性が高いです。

自賠責保険を使用するためには、申請する人が「他人」に該当する必要があります(自賠法3条)。

裁判所は、友人が自動車を運転し、所有者が同乗中に事故が起きたという事案において、特段の事情がない限り、所有者は友人との関係で他人性を主張できないと判断しました(最判昭和57年11月26日民集36巻11号2318頁)

そのため、上記質問のような場合、判例によれば他人性の要件を満たさないため、自賠責保険に後遺障害申請ができない可能性が高いです。

他人性の要件を満たすかどうか、明確には判断が付かないケースも多々あります。

自賠責保険が使えると思っていたけれども、後遺障害を申請するときに弁護士に相談したら、実は使えない可能性が高いと分かったとなると、適切な賠償がされないこともあります。

そのようなことがないよう、交通事故に遭ってしまったら、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

入院したのですが、個室使用料は請求できますか?

「交通事故によって入院を余儀なくされたのですが、個室使用料は請求できますか?」というご質問をいただくことがあります。

特に最近は、大部屋に入院すると新型コロナウイルスに感染するのが怖いので、個室に入院したい、というご相談をいただくことがあります。

 

裁判所は、個室を使用することの必要性がある場合には、個室使用料を賠償の対象と認めています。

大部屋に入院するのと個室に入院するのとで、治療効果に差がない場合には、あえて個室を使用する必要はないと判断する傾向にあります。

個室を使用した方が良い治療効果が期待できる場合や、個室を使用しないと症状が悪化するような場合には、個室使用料は賠償の対象となることが多いです。

入院した病院に空きのベッドがなく、個室にしか入院できなかったという場合にも、個室使用料は賠償の対象とされる傾向にあります。

また、新型コロナウイルスへの感染リスクを理由とした個室使用料の支払いが認められるかどうかについては、まだ裁判例が見当たらないので何とも言えないですが、おそらく単に怖いという理由だけでは認められず、大部屋に入院することで個室に入院するよりも感染リスクが増加することを具体的に立証できなければ、賠償の対象とはならないと思います。

 

個室使用料を巡っては保険会社とトラブルになることも多いため、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

 

 

一度後遺障害と認定されると,今後は後遺障害と認定されないのか?

交通事故の法律相談をしていると,たまに「以前,交通事故に遭って後遺障害が認定されているのですが,今回の事故では認定されないのですか?」という質問をいただくことがあります。

 

今回の事故で後遺障害が認定されるかどうかは,前回認定された部位と今回の部位が同一かどうか,によって変わります。

 

前回認定された部位と同一部位に症状が出た場合には,前回認定された障害を上回る障害が残存しなければ,後遺障害は認定されません。

例えば,前回の事故で腰部に後遺障害等級14級9号が認定された場合,今回の事故で腰部を痛めたとしても,14級9号は認定されません。

腰部を骨折するなどして,腰部に他覚的所見がある場合には,12級が認定される可能性はあります。

 

前回認定された部位と異なる部位に症状が出た場合には,通常どおり,後遺障害の認定がされることになります。

例えば,前回の事故で頚部を痛めて14級9号が認定され,今回の事故で腰部を痛めた場合には,腰部が14級9号と認定される可能性はあります。

 

後遺障害の認定においては,様々なルールがあるため,ルールを知らないまま認定を受けると,思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。

後遺障害認定申請をお考えの方は,一度,弁護士に相談することをおすすめします。

後遺障害の認定は誰がするのか?

交通事故に遭って通院治療を続けたけれども,痛み,痺れ,関節の可動域制限,変形などの症状が残ってしまう場合があります。

そのような症状が残存してしまった場合には,後遺障害と認定されて,より多くの賠償金が支払われることになります。

 

残存した症状が後遺障害に該当するかどうかは,まず自賠責保険が判断することになります。

正確には,損害保険料率算出機構という組織が調査をして,その調査結果に基づいて自賠責保険が等級の認定をします。

 

自賠責保険の認定した等級に不服がある場合には,自賠責保険に対して異議申立てという不服申立手続きをすることができます。

異議申し立ては,制度上,何回でも行うことができるとされています。

ただ,異議申立をしても時効は中断しないので,等級に納得がいかない場合でも,どこかのタイミングで訴訟提起をせざるを得なくなります。

 

異議申立てでも納得のいく等級が認定されなかった場合には,紛争処理機構に判断を委ねることもできます。

ただ,紛争処理機構への申し立ては1回しかできないので,その点には注意が必要です。

 

自賠責保険と紛争処理機構での判断に納得がいかない場合には,訴訟提起をして裁判所に判断を委ねることになります。

裁判所は,自賠責保険や紛争処理機構の判断には拘束されないため,独自に等級を認定することができます。

もっとも,実務上,裁判所は自賠責保険や紛争処理機構の判断を尊重する傾向にあります。

そのため,自賠責保険への後遺障害申請の段階から,弁護士に相談するなどして,しっかりと対策を立てることが大事です。

会社員の休業損害

事故によって会社を休んでしまったり,有給の取得を余儀なくされた場合,その分の休業損害の支払いを相手方保険会社に求めることができます。

そのような場合,通常,相手方保険会社から休業損害証明書が送られてくるため,それを会社に書いてもらい,相手方保険会社に郵送する必要があります。

相手方保険会社には,休業損害証明書と一緒に,事故前年分の源泉徴収票を提出する必要があります。

入社したばかりで事故前年分の源泉徴収票がない場合には,入社以降の賃金台帳の写しや,雇用契約書の写しを提出する必要があります。

必要書類を相手方保険会社に提出したら,不備がなければ,通常1週間程度で休業損害が支払われます。

 

ただ,休業損害は,休業の必要性が認められる期間に限って支払われるため,必ずしも休業した日すべての分が支払われるわけではありません。

例えば,事故によって4か月休業したけれども,相手方保険会社が「2か月しか休業の必要性は認めない」と主張して,残り2か月分の休業損害の支払いを拒否してくることもあります。

 

休業の必要性の認められる期間が争いになった場合には,主治医に意見書を書いてもらう,カルテを精査する等の方法により,休業の必要性があったと主張していくことが多いです。

 

休業損害はトラブルになりやすい項目なので,お困りの際は弁護士に相談することをお勧めします。

 

治療費の打ち切りと症状固定

交通事故に遭って数か月通院すると,相手方保険会社の担当から「もう治療費の支払いを打ち切るので,そろそろ症状固定にしてください」と言われることがあります。

 

そう言われると,症状固定にしなければならないと思ってしまう方も多いですが,治療費の支払いの打ち切りと症状固定は別物なので,治療費が打ち切られたとしても,必ずしも症状固定にしなければならないわけではありません。

 

治療費の支払いを打ち切るかどうかは,保険会社が判断するものです。

これに対して,症状固定かどうかは,最終的には裁判所が判断することにはなりますが,原則として主治医の判断が重視されます。

 

保険会社がもう治療の必要性はないと判断しても,裁判所や主治医がまだ治療は必要だと判断することがあるため,打ち切り日と症状固定日が異なることがあります。

 

治療費の支払いを打ち切るとの話が相手方保険会社から出ても,慌てずに,主治医に相談するのが良いでしょう。

 

もっとも,主治医への話の持って行き方によっては,通常よりも早く症状固定と主治医から判断されてしまうことがございます。

 

そのため,主治医とどのように話せばいいのか不安な方は,まずは弁護士などの専門家に相談してみるのが良いかと思います。

 

人身事故へは切り替えた方が良いのか

交通事故に遭ってお怪我を負ってしまったときに,加害者側から「物件事故扱いにしてほしい」と言われることがあります。

 

物件事故とは,警察内部の処理上,怪我人の発生していない事故のことをいいます。

なぜ加害者側が物件事故扱いにしてほしいとお願いするかというと,人身事故に切り替えると,加害者が刑事処分や行政処分を受ける可能性が出てくるためです。

 

交通事故によって人に怪我を負わせてしまった場合,加害者には自動車運転過失致傷罪が成立する可能性があります。

警察官,検察官による捜査の結果,加害者が起訴され,有罪となれば,罰金刑,懲役刑などの刑事処分が下ります。

 

また,人身事故に切り替えると,運転免許の点数が引かれ,免許停止や免許取消にまで至ることもあります。

仕事で車を使う方や,日常生活で車が不可欠な方にとっては,影響がとても大きいです。

 

そのため,加害者側からすれば,できれば人身事故への切り替えはしてほしくないと思っています。

 

しかしながら,人身事故に切り替えをしていないと,被害者側にはデメリットがあります。

 

例えば,後遺障害の申請をしたときに,自賠責調査事務所の審査担当者から「人身事故に切り替える程の事故ではない」と誤解され,本当は痛みが強いにもかかわらず,後遺障害が認定されにくくなるという危険性があります。

また,物件事故のままでは,警察官が実況見分調書を作成しないため,過失割合に争いがある場合に,客観的な証拠が乏しくなってしまいます。

 

そのため,このようなデメリットも踏まえて,人身事故に切り替えるかどうかをご判断いただくのが良いかと思います。

判断に迷ったときには,ぜひ一度,弁護士にご相談ください。

 

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治療費の支払いを打ち切られた後は,労災に切り替えられるか

仕事中や通勤中に交通事故に遭われたしまった場合には,相手方保険会社から治療費の支払いを打ち切られた後でも,労災に切り替えることはできます。

 

労災指定病院に通っている場合には,打ち切り以降の治療費は,労基署から病院に直接支払われるため,窓口での負担なく通院できます。

通っている病院が労災指定病院かどうかは,病院で尋ねるのが早いですが,労政労働省のホームページでも調べることができます。

労災に切り替える場合には,労災保険給付関係書類に記載等をしたうえ,その書類を病院に提出する必要があります。

 

労災に切り替える場合に注意したいのが,打ち切り以降の治療費を支払うかどうか,最終的に判断するのは労基署になることです。

 

労基署が打ち切り以降の通院治療は必要ないと判断すれば,労基署は病院に治療費を支払いません。

そうなると,労基署が支払わなかった分の治療費は,患者様ご自身が病院に支払わなければなりません。

 

そのため,打ち切り以降に労災に切り替えるかどうかは,主治医と良く相談のうえ,ご判断いただくのが良いと思います。

 

また,交通事故に精通した弁護士であれば,労基署がどのような要素をもとに治療の必要性・相当性を判断するのか,詳しく知っているかと思いますので,弁護士に相談するのも良いかと思います。

 

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後遺症と後遺障害はどう違うのか

一般的に,後遺症と後遺障害は同じような意味だと思われています。

しかし,後遺症と後遺障害には大きな違いがあります。

 

後遺症とは,入通院治療を続けたけれども,一定の症状が残ってしまうことを意味します。

医師が「首に後遺症が残ってしまいます」と言うときには,通常,この意味で用いられます。

 

これに対して,後遺障害とは,事故によって生じた後遺症のうち,自賠責保険制度や労災保険制度において保険金の支払対象として法令で定められてるものを意味します。

後遺障害の方が後遺症よりも狭い意味なので,後遺症が残ってしまったけれども,後遺障害には該当しないと判断されることがあります。

例えば,後遺障害等級14級9号が認定されるためには,常に痛みや痺れが残っていることが要件とされているので,「常に痛いというわけではないが,寒くなると首が痛む」という場合には,後遺障害等級14級9号には該当しません。

 

後遺症と後遺障害は別物だと認識していないと,後遺障害の申請書類に不備があっても,それに気付けない危険があります。

例えば,本当は膝が常に痛いにもかかわらず,後遺障害診断書の自覚症状の欄に「膝を曲げると痛い」と書いていると,それだけで常時痛ではないと判断され,膝の痛みが後遺障害に該当しないとされてしまいます。

 

そのため,後遺障害の申請については,弁護士に依頼することをお勧めします。