麻痺が残った場合に認められる後遺障害③

 麻痺が残った場合に相手方保険会社に請求しうる主な損害項目は、以下のとおりです。
1 治療費
 交通事故によって脳や脊髄が損傷した場合、入院や通院のために多額の治療費が掛かります。症状固定日までに掛かった必要かつ相当な治療費は、加害者に請求することができます。 

2 休業損害
 脳や脊髄が損傷した場合には、休業を余儀なくされるのが通常です。休業によって減収が生じた場合、有給を取得した場合には、加害者に休業損害を請求することができます。

3 入通院慰謝料
 脳損傷や脊髄損傷で入通院を余儀なくされることにより、被害者の方は大きな精神的苦痛を被ります。その苦痛を保障するものとして、入通院期間に応じた慰謝料を加害者に請求することができます。

4 後遺障害慰謝料
 麻痺による後遺障害が残った場合、それによる精神的苦痛を保障するものとして、後遺障害等級に応じた慰謝料を加害者に請求することができます。麻痺によって認定される可能性のある後遺障害等級は、〇級から〇級まであります。不当に低い等級しか認定されないと、その分、後遺障害慰謝料も減ってしまいます。

5 逸失利益
 麻痺による後遺障害が残った場合、仕事に大きな支障が生じて、将来の所得が減少することが通常です。将来の所得を保障するものとして、逸失利益を加害者に請求することができます。労働能力喪失率は後遺障害等級によって変わるため、低い等級しか認定されないと、逸失利益も減ってしまいます。


6 将来介護費
 麻痺によって寝たきりになるなど、将来にわたって介護が必要な状態となってしまうことがあります。そのような場合には、将来にわたって掛かるであろう介護費用を加害者に請求できます。

 以上のとおり、加害者側に請求し得る損害項目には様々ありますが、特に、後遺障害慰謝料、逸失利益、将来介護費の金額は大きくなります。加害者側に賠償請求をする際には、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。