むち打ちで後遺障害等級12級が認定される場合

 

交通事故でむち打ちになり,通院治療を続けたけれども,痛み,痺れといった後遺症が残ってしまう場合があります。

この場合,認定される可能性のある後遺障害等級は12級か14級です。

実務上,12級が認定されることは多くはなく,ほとんどが14級か非該当とされています。

痛み,痺れといった症状が「局部に頑固な神経症状を残すもの」と認定されれば,後遺障害12級13号と認定されます。

「頑固な神経症状」とは、「労働には通常差支えないが、医学的に証明可能な神経系統又は精神の障害に係わる所見があると認められるもの」をいいます。

そして,痛み,痺れなどの自覚症状の原因が神経学的検査やレントゲン,MRI,CT等の画像により証明できる場合には,「医学的に証明可能」とされています。

 

後遺障害12級を獲得するためには,画像検査の結果が極めて重要です。

特に,レントゲンよりも精度の高いMRI検査の結果は重要です。

また,事故後しばらくしてMRIを撮影した場合,その画像に異常所見があっても,その所見が事故によって生じたものかどうかが分からなくなってしまうことがあります。

そのため,MRIは事故に遭ってから出来るだけ早いタイミングで撮影した方が良いでしょう。

気になる点があれば,弁護士に相談してみるのも良いかもしれません。

 

交通事故でお困りごとがございましたら,お気軽にご相談ください。

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顔に残った傷は後遺障害として認められるのか

交通事故に遭われた方の中には,顔や首に傷が残ってしまう方もおられます。

日常的に露出する場所に傷が残ってしまった場合,その傷については,外貌醜状として後遺障害が認定される可能性があります。

 

傷の大きさや,傷の残った場所に応じて,12級14号,9級16号,7級12号の後遺障害が認定されます。

例えば,顔に長さ3センチメートル以上の傷が残ってしまった場合には,「外貌に醜状を残すもの」として,12級14号が認定されます。

顔に長さ5センチメートル以上の傷が残ってしまった場合には,「外貌に相当程度の醜状を残すもの」として,9級16号が認定されます。

 

外貌醜状として後遺障害が残ってしまった場合,被害者の方には大きな精神的な苦痛が生じますし,仕事にも影響が出る場合もあります。

そのため,相手方保険会社からは,後遺障害の等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われます。

 

もっとも,保険会社はよく「顔に傷があるとしても,それによって仕事に支障は出ない」と主張し,逸失利益の支払いを拒むことがあります。

 

確かに,裁判例の中には,外貌に醜状が残ってしまった場合の逸失利益を否定したものもあります。

 

しかし,営業,接客業等,人と接する仕事をしている場合には,外貌醜状が仕事に影響を与える可能性は否定できません。

また,逸失利益が認められない場合であっても,逸失利益部分を慰謝料に加味して判断した裁判例も多数あります。

そのため,保険会社が逸失利益の支払いを拒んでも,諦めるは早いです。

 

外貌醜状でお困りの方は,弁護士にぜひご相談ください。

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自動車保険にはどのようなものがあるか

自動車保険には,大きく分けて自賠責保険と任意保険の2種類があります。

 

自賠責保険は,全てのドライバーに法律上加入が強制されています。

自賠責保険は交通事故被害者の最低限の補償を確保することを目的としているため,その適用範囲は人身事故に限定されますし,支払われる補償金の限度額も決まっています。

 

これに対して,任意保険は,ドライバーが加入するかどうかを自由に決めることができます。

任意保険は自賠責保険では補償しきれない損害を填補することを目的としているため,人身事故だけでなく物件事故にも適用されることが多いですし,支払われる補償金の限度額も決まっていない場合も多いです。

 

任意保険には,大きく分けて7種類の保険があります。

⑴対人賠償責任保険

対人賠償責任保険とは,交通事故で被害者に怪我を負わせてしまった場合や,被害者を死亡させてしまった場合に,自賠責保険では補償しきれない賠償金を填補するための保険です。

⑵自損事故保険

単独事故や相手方の過失がない交通事故といった,運転者自身の責任で起きた事故によって運転者が怪我や死亡をしてしまった場合に支払われる保険です。

⑶搭乗者傷害保険

搭乗者傷害保険とは,保険の対象となっている自動車に搭乗中の人が怪我を負った場合や,死亡してしまった場合に支払われる保険です。

⑷無保険車傷害保険

無保険車傷害保険とは,事故の相手方が自賠責保険や任意保険に加入しておらず,被害者が十分な補償を受けることができない場合に支払われる保険です。

⑸人身傷害補償保険

人身傷害補償保険とは,交通事故によって怪我を負った場合や死亡してしまった場合に支払われる保険です。交通事故によって怪我を負った場合には,通常,加害者の加入する保険会社から賠償金を受け取ります。その賠償金は,通常であれば示談が成立しなければ受け取ることができません。しかし,人身傷害補償保険は示談成立前であっても受け取ることができるため,人身傷害補償保険には,早期に賠償金を受け取ることができるというメリットがあります。

⑹対物賠償責任保険

対物賠償責任保険とは,交通事故によって他人の財産に損害を与えてしまった場合,その損害を填補するために支払われる保険です。

⑺車両保険

車両保険とは,交通事故によって保険の対象となっている車両が損害を被った場合,その損害を填補するために支払われる保険です。

 

このように,任意保険には様々な種類があるので,内容がよく分からない方も多いと思います。

交通事故でお困りの方は,弁護士までお気軽にご相談ください。

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弁護士費用特約とは何か

交通事故の被害に遭われてしまった場合,被害者の方の多くは,加害者に対してどのように損害賠償請求をすればいいのか分かりません。

弁護士に相談しようとしても,相談料などが掛かるため,相談を躊躇してしまう方も多くおられます。

 

そのような被害者の方を救済するため,最近は自動車保険に弁護士費用特約が付帯されることが多くなりました。

弁護士費用特約とは,自動車保険等に付帯される特約であって,加害者に損害賠償を求めるために弁護士に相談・依頼したときに発生する費用を賄うものをいいます。

つまり,弁護士費用特約に加入していれば,弁護士費用等は,ご自身の任意保険が弁護士に支払ってくれます。

 

弁護士費用特約の内容については,各保険会社により違いはありますが,おおむね1回の事故で被害者1人につき300万円までの弁護士費用であれば,保険会社から支払いがなされます。

このように,弁護士費用特約は,かなり高額な弁護士費用までカバーしています。

 

また,弁護士費用を使ったとしても,翌年の保険料が上がることはありません。

 

そのため,交通事故に遭われてしまい,弁護士に相談するかどうかをお悩みの方は,弁護士費用特約に加入しているかどうかをご確認いただくことをお勧めします。

 

交通事故でお困りごとがございましたら,お気軽にご相談ください。

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症状固定後の治療費は認められるのか

もうこれ以上通院をしても治療の効果がない状態のことを,症状固定といいます。

頚椎捻挫や腰椎捻挫といった,いわゆるむちうちの場合には,事故から約3か月~6か月通院しても完治しないと,医師に症状固定と判断されることが多いです。

症状固定後に通院治療したとしても,その治療費は,損害賠償の対象にならないのが原則です。

 

 

しかし,症状の悪化防止のため等,現在の症状を維持するために必要かつ相当な治療費については,症状固定後であっても,例外的に損害賠償の対象になるとされています。

 

例えば,第5腰椎圧迫骨折変形治癒,排尿障害等で併合7級の後遺障害を負った主婦について,症状固定後も生存期間にわたって通院治療が必要であるとして,平均余命まで1か月当たり3万円の治療費及び交通費を認めた裁判例があります(大阪地判平12・8・29)。

 

また,てんかん症状等で9級の後遺障害を負った被害者について,てんかんの予防等のためには脳波測定やMRI検査が必要であるとして,平均余命まで24年間の治療費として289万円を認めた裁判例もあります(東京地判平7・10・31)。

 

もっとも,症状固定後の治療費については,あくまで例外的に損害賠償の対象とされるので,裁判でも認められにくいというのが現状です。

 

症状固定後の治療費についてお困りごとがございましたら,お気軽に弁護士にご相談ください。

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自動車の買替諸費用は請求できるのか

交通事故に遭って壊れた自動車を買い替える場合,その買替諸費用は,相手方に請求できるのでしょうか。

 

交通事故に遭って自動車が壊れた場合,原則として,その修理費を相手方に請求することができます。

 

しかし,自動車の修理が物理的に不可能である場合(物理的全損)や,事故当時の自動車の市場価格に買替費用を足した金額が修理費を下回る場合(経済的全損)には,事故当時の時価と買替費用の合計額に限って,相手方に請求することができます。

 

例えば,交通事故に遭って自動車が壊れ,その修理に50万円掛かるけれども,その自動車の時価と買替諸費用の合計額が30万円の場合には,相手方には30万円しか請求することができません。

 

また,買替諸費用のすべてを請求できるかというと,そうではありません。

 

損害賠償の対象となる買替費用は,①自動車登録番号変更費用,②車庫証明費用,③検査登録法定費用,④車庫証明法定費用,⑤納車費用,⑥検査登録手続代行費用,⑦車庫証明手続代行費用,⑧リサイクル預託金とされています。

 

自動車税,自賠責保険料,増加保険料,希望ナンバー代行費用については,損害賠償の対象とされてはいません。

 

買替諸費用についてお困りのことがございましたら,お気軽に当法人までご相談ください。

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将来の治療費についても賠償を受けることができるのか

交通事故に遭ってしまった場合,病院でかかった治療費は相手方保険会社に請求することができます。

損害賠償の対象となる治療費は,症状固定日までの治療費が原則です。

しかし,例外的に症状固定日以降に支出する将来の治療費も,損害賠償の対象となる場合があります。

 

例えば,第5腰椎圧迫骨折変形治癒,排尿障害等で併合7級の後遺障害を負った主婦について,症状固定後も生存期間にわたって通院治療が必要であるとして,平均余命まで1か月当たり3万円の治療費及び交通費を認めた裁判例があります(大阪地判平12・8・29)。

 

また,てんかん症状等で9級の後遺障害を負った被害者について,てんかんの予防等のためには脳波測定やMRI検査が必要であるとして,平均余命まで24年間の治療費として289万円を認めた裁判例もあります(東京地判平7・10・31)。

 

このように,将来の治療費を認める裁判例はありますが,損害賠償の対象となる治療費は症状固定前までというのが原則ですので,将来の治療費については裁判でも認められにくいというのが現状です。

保険会社も示談交渉の段階では支払いに応じないことが多いです。

 

将来の治療費についてお困りごとがございましたら,お気軽に弁護士にご相談ください。

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病院の個室料も賠償されるのか

交通事故に遭ってケガをしてしまった場合,入院をして,個室を利用することがあります。

大部屋を利用する場合と異なり,個室を利用すると,別途個室利用料が発生します。

病院の個室料については,個室を利用することの必要性・相当性が認められれば,損害賠償の対象となります。

必要性・相当性の有無は,それぞれの事案によって個別具体的に判断されます。

 

一般的に,事故によって患者の免疫力が低下し,個室を利用しなければ感染症に罹患するおそれのある場合や,症状が重篤であって常時監視を必要とするような場合には,必要性・相当性の認められることが多いです。

また,病院の大部屋に空きがなく,個室しか利用できないような場合にも,必要性・相当性が認められることが多いです。

 

個室料の支払いについては,相手方保険会社は必要性・相当性がないとして拒否する場合が多いです。

そのような場合には,病院の主治医に個室利用の必要がある旨の回答書を書いてもらうなどして,個室を利用することの必要性・相当性を立証することとなります。

 

個室料の支払いを巡っては,相手方保険会社とトラブルになることが多いです。

お困りごとがございましたら,弁護士に相談してみるのが良いかと思います。

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通院交通費は補償されるのか

交通事故により通院をした場合,通院に掛かった交通費を相手方保険会社に請求することができます。

 

⑴自家用車を利用した場合

自家用車で通院をした場合,1キロメートルあたり15円のガソリン代を請求することができます。

また,有料駐車場や高速道路を利用した場合も,実費を請求することができます。

この場合には,相手方保険会社から領収書の提出を求められるので,領収書は大切に保管しましょう。

 

⑵バス,電車などの公共交通機関を利用した場合

バス,電車などの公共交通機関を利用して通院した場合,実費を請求することができます。

領収書の提出は必要ありませんが,どのような経路で通院をしたのかをメモしておくと良いでしょう。

 

⑶タクシーを利用した場合

タクシーを利用して通院した場合であっても,実費を請求することができます。

しかし,タクシー代の支払いが認められるためには,例えば足を骨折してバスの乗り降りができないなど,タクシーを利用する必要性・相当性が必要です。

ケガが軽微で歩行に支障がないとか,バスや電車で通院できるような場合には,タクシー代の支払いは認められません。

相手方保険会社と後々トラブルにならないよう,タクシーを利用する前にはその担当者に確認した方が良いでしょう。

タクシー代を巡っては保険会社とトラブルになり易いので,お困りになったら弁護士に相談してみてください。

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治療費の支払いは誰がするのか

交通事故で病院に行った場合,その治療費は誰が負担するのでしょうか。

一般的には,加害者の加入する任意保険会社が,直接,病院に治療費を支払ってくれます。

そのため,まずは加害者の加入する任意保険会社の担当者に連絡をして,「◯◯病院に通うので,病院に治療費を支払って欲しい。」と相談してみるのが良いでしょう。

ただ,病院によっては,任意保険会社による治療費の支払いを認めないところもあります。
また,被害者側の過失割合が大きい場合には,保険会社が治療費を病院に支払うことを拒否することもあります。

そのような場合には,被害者の方が一旦病院の窓口で治療費を支払わなければなりません
後日,その領収書を加害者の加入する任意保険会社に郵送し,治療費の支払いを求めることになります。

なお,加害者の加入する任意保険会社が治療費を支払ってくれない場合であっても,被害者の方が人身傷害保険に加入していれば,その保険から治療費等が支払われる可能性があります。

加害者の加入する任意保険会社が治療費を支払ってくれないときには,ご自身の加入する保険を確認するのが良いでしょう。

交通事故による治療費の支払いを巡って,保険会社とトラブルになることは多いです。
ご自身では対応が難しいと感じたら,弁護士に相談することをお勧めします。

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ドライブレコーダー

今年6月に東名高速道路で発生した夫婦の死亡事故について,夫婦の車を追い越し車線に停車させたとして容疑者が逮捕されました。

逮捕の決め手は,ドライブレコーダーの映像とのことです。

弁護士として交通事故案件を扱っている私としては,車にドライブレコーダーを付けるに越したことはないと常々思っているのですが,この逮捕を知り,その思いをより強くしました。

健康診断

本日は健康診断を受けてきました。

弁護士は体が資本なので,年に一回受けています。

健康には気を遣っているつもりですが,結果が出るまでどきどきします。

内定者研修

今日は,東京駅法律事務所で開催された,70期司法修習生の内定者研修に参加しました。

内定者の方とは久しぶりにお会いしましたが,

司法修習を経て一段と成長したのではないかと思いました。

一緒に働くのが楽しみです。

子の引き渡し拒否で制裁金

法制審議会において,離婚した夫婦間の子の引き渡しに関する,民事執行法の改正案がまとめられました。

この改正案では,裁判所から子の引き渡しを命じられた親が応じない場合,日毎に制裁金を課すというルールを提案しています。

この改正案は,来年の通常国会に提出される見込みとのことです。

弁護士実務に大きな影響のある改正になりそうなので,動向を注視していきます。

夏季休廷

8月中旬は裁判所が夏季休廷となります。

弁護士は,裁判所に行く時間がなくなる分,仕事がはかどります。

民法改正

先日,事務所の研修において,

民法改正によって実務にどのような影響が出るのか学びました。

私が現在多く扱っている分野でも大きな影響があるので,注意が必要です。

刑法改正

刑法が大幅に改正され,平成29年7月13日に施行されました。

 

強姦罪の罪名が強制性交等罪となり,

親告罪から非親告罪へと変更されました。

また,処罰範囲が広がり,法定刑も上がりました。

 

対象の罪でお困りの方は,

刑事弁護に強い弁護士にご相談ください。

フレンドリーペアレントルール

昨日,離婚後の親権について,最高裁が興味深い決定を出しました。

 

事案は,父母は別居しており,9歳の娘は母親と同居していたが,

父親が娘との面会を希望しても母親がほぼ応じていなかった,というものです。

 

第一審は,

「年間100日は母親と面会させる」という父親の主張を重視し,

父親を親権者にするとの判決を出しました。

 

この判決は,面会交流により寛容な親が親権者として適しているという,

いわゆるフレンドリーペアレントルールを重視したものでした。

フレンドリーペアレントルールを重視して父親を親権者とした判決は異例であったため,

この判決は注目されました。

 

しかし,第二審の東京高裁は,面会交流の意向を過度に重視すべきでないとして,

第一審判決を覆し,母親を親権者としました。

 

そこで,父親が最高裁に上告していたのですが,

最高裁は,父親の上告を棄却する決定を出しました。

 

東京高裁と最高裁の判断は,

フレンドリーペアレントルールを重視した第一審判決と異なり,

従来の裁判所の考え方を踏襲したものでした。

 

親権者を父母のどちらに定めるかどうかは,

どのような事情を重視するかによって結論が変わり得ます。

 

離婚後の親権についてお悩みの方は,

離婚に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。