取締役が自己破産をするとどうなるか
1 委任契約が終了することで退任することになる
取締役という立場は、会社との間で委任契約を締結しています。
そして、自己破産をすることは委任終了事由に該当するため、自己破産することにより取締役の地位は自動的に退任ということになります。
しかし、自己破産することは欠格事由ではないため、株主総会の決議によりすぐに再度取締役に就任することは可能です。
この点は、警備員や生命保険募集人のように、自己破産が欠格事由とされているケースとは大きく異なるため注意が必要です。
ちなみに、旧商法では、自己破産開始決定から免責までの状態が欠格事由とされていました。
現在の会社法では、取締役の欠格事項に自己破産したことが含まれていないので、自己破産した場合でも取締役や代表取締役になることが可能です。
2 会社に対する責任はあるのか
取締役が自己破産しても、会社や会社の債権者に財産を奪われることはないです。
特に取締役だからといって、自己破産することで会社に対して特別な責任を負うわけではないということになります。
3 再度取締役となるにあたっての現実的な問題
取締役に再任したとしても、社会的信用力は落ちてしまいます。
取締役の場合に限りませんが、自己破産をすると信用情報機関(ブラックリスト)に登録されてしまいますので、5年ないし10年間は与信審査で不利となり、クレジットカードを新たに作ることや銀行から融資を受けることも困難になります。
取締役が自己破産しても、ただちに会社の信用が失われるとは言えないものの、代表取締役が自己破産した場合は会社の信用が失われることもあり得ます。
一人会社あるいはごく小規模の会社に対して金融機関が融資する場合、銀行は会社というよりも代表取締役個人の信用情報を調査することになりますので、代表取締役がブラックリストに載っていると判明すれば、融資を受けられない可能性があります。
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