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ハードシップ免責について

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2023年5月9日

1 個人再生後に借金が支払えなくなってしまった

個人再生の手続をとると、もともとの借金額が大幅に減額されます。

しかし、再生計画を立てた当初は十分に支払っていけると見込まれていたとしても、その後の世の中の情勢が大きく変わり、収入が大幅に減額してしまうこと等もあり得ます。

このように、個人再生をしたけれども借金を払えない場合の対応方法として、ハードシップ免責という制度がありますので、ご説明していきます。

2 ハードシップ免責とは

再生計画を立てた後、既にある程度の支払いを終えている場合に利用できる制度であり、これが認められると残額の債務について免除を受けることができます。

以降の返済をしなくていいという債務者にとって非常に有利な制度なので、当然要件も厳格です。

3 ハードシップ免責が認められるための要件

まず、返済ができなくなったことについて、債務者に責任がないということ、そして再生計画通りの借金返済が極めて困難になったと認められることが必要です。

次に、総額の4分の3以上を返済していることも必要となります。

また、ハードシップ免責の決定が、債権者の一般の利益に反しないこと、再生計画を変更しても支払いの継続が極めて困難であること、あるいは再生計画の変更が極めて困難であることも要件となります。

4 住宅ローンは免責されない

住宅ローンはハードシップ免責の対象外となりますので、住宅を残す前提であれば少なくとも住宅ローンの支払いだけは継続できることが必要になります。

5 ハードシップ免責を検討するにあたって

上述したとおり、ハードシップ免責は債務者に非常に有利な制度であり、申し立てるための要件も限定的なものです。

そのため、実際に利用されるケースは極めて稀で、全国でも年間に数えるほどしか利用されていません。

ハードシップ免責は最終手段ですので、まずは再生計画の延長などを検討することになります。

個人再生では原則3年で返済することになっていますが、最大5年まで延長することができるので、これによって返済していくことができないかを考えることになります。

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