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交通事故における健康保険の使用

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2023年4月24日

1 健康保険を使うことは可能

交通事故によって負傷した被害者は、治療するにあたって、健康保険を使うことが可能です。

健康保険を使う診療(保険診療)と使わない診療(自由診療)のどちらにするかは、被害者が選択することができますが、交通事故の場合は緊急の処置や高度な治療を必要とすることを理由に社会保険診療になじまないなどと考える医療機関から、「交通事故なので健康保険は使えない」と言われることがあります。

厚生労働省は、こうした医療機関の誤解を正すため、交通事故の場合でも健康保険による診療を行うことができる旨を繰り返し公表しています。

2 第三者行為による傷病届

交通事故による負傷について健康保険を使う場合、被害者が加入している健康保険の保険者へ「第三者行為による傷病届」等、保険者所定の書類を提出する必要があります。

これは、保険者が交通事故の加害者に給付相当額を請求するために、保険者から求められる手続です。

3 健康保険を使えない場合

ただし、業務中や通勤途上の交通事故により受傷した場合、労働災害による補償を受けることが予定されているため、健康保険は使えません。

この場合、自由診療とするか、労働基準監督署に療養補償等の請求をして、療養の給付や療養費用の支給等を受けることになります。

4 健康保険を使うべきか

健康保険を使うと、処方される薬剤の種類、リハビリの回数・期間など治療内容が制限される可能性があることに留意しなげればなりません。

なお、高度の医療技術を用いた一定の治療、差額ベッド代、文書料等は、そもそも保険給付には含まれていません。

被害者にも過失がある場合は、健康保険を使うことについて検討するとよいでしょう。

被害者の過失に相当する治療費は、加害者に請求することができず、自己負担となるからです。

例えば、診療報酬点数の合計が9万点の場合、保険診療では1点10円で計算するため治療費は90万円となり、窓口負担が3割であれば30万円の支払いですみます。

他方、自由診療の場合、1点の単価は医療機関の裁量により決められ、仮に1点20円であれば、治療費は180万円となり、しかも、全額を支払わなければなりません。

そうすると、例えば、被害者の過失が2割の場合、自由診療による自己負担分は36万円に上る一方、保険診療による自己負担分は6万円にとどまります。

5 弁護士にご相談ください

健康保険を使うかどうか判断する際、過失の有無、治療内容、治療費の多寡、医療機関の対応等を考慮しなければなりません。

お悩みの場合は、弁護士にご相談ください。

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