労災に関する弁護士と社労士の権限の違い
1 社会保険労務士(社労士)とは
⑴ 社会保険労務士の業務内容
労働・社会保険の問題の専門家として、①書類等の作成代行、②書類等提出代行、③個別労働関係紛争の解決手続(調整、あっせん等)の代理、④労務管理や労働保険・社会保険に関する相談等を行います。
⑵ 特定社会保険労務士とは
③については、「特定社会保険労務士」のみ行うことができます。
特定社会保険労務士は、定められた研修を修了し、試験に合格する必要があり、労使間のトラブルを裁判「外」で解決するため、事業主や労働者等の代理人として業務を行います。
あくまでも裁判外であって、裁判上の代理人として活動することまでは認められておりません。
2 弁護士とは
弁護士は、当事者その他関係人の依頼または官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訴訟事件および審査請求、異議申し立て、再審査請求など行政庁に対する不服申し立て事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とすると弁護士法3条に規定されています。
弁護士資格を有するものは、社会保険労務士として登録することもできますので、社労士の業務を行うことも可能です。
3 労災に関してどちらに頼めばよいのか
労災申請のみを行う場合には、申請の代行をお願いすればよいわけで、それは社労士でもできる業務なので、社労士に頼めばよいのですが、労災申請のみで終わらずに、使用者や加害者などに損害賠償請求をしたいだとか、労災の認定結果に不服がある場合には、弁護士に最初から頼んでおく方が、スムーズに終わりますし、トータルでかかる費用が安く済むこともあります。
よく勘違いされているのが、弁護士は費用が高いから、まずは社労士にお願いしようというのは、少し注意が必要です。
ひと昔前よりかは、弁護士の費用相場もかなり安くなってきていますし、最も困ることとしては、最初に社労士にいくらか払っていたが、途中でもう社労士では対応できないので、あとは弁護士に頼んでくださいと匙を投げられたときです。
この場合には、最初から弁護士に依頼しておけば、もっと安く済んでいたのに、社労士を介してしまったから余計な費用がかかってしまったということにもなりかねません。