給料の差押えを受けた場合の流れと債務整理
1 給料の差押えとは?
給料の差押えとは、対象となってしまった方の給料の4分の1が、強制的に取り上げられてしまう制度をいいます。
給料の差押えがなされる場合には、裁判所からの通知が勤務先に送付されます。
そのため、借金があることと返済が滞っていることが勤務先に発覚してしまいます。
2 どのようなときに給料が差し押さえられるのか?
借金を返済することができずに滞納している場合、債権者が裁判を起こしてくることがあります。
貸金業者から起こされた裁判の流れについては、こちらをご覧ください。
この裁判では、返済をしていないことが事実である以上、既に時効になっているといった理由がない限りは、負けてしまうことになります。
この場合、債権者は国家権力を使って、債務者の財産から強制的に債権を回収することができる権利を取得します。
その代表例が、給料の差押えです。
3 給料の差押えと債務整理手続きとの関係
給料の差押えが債務整理にどのように関係してくるのかは、どの方法で債務整理するのかによって変わってきます。
債務整理の方法は、大きく分けると任意整理、自己破産、個人再生の3つです。
どの手続きを選ぶかによって、給料の差押えによる影響や対処方法が異なります。
⑴ 任意整理
任意整理は、各債権者との交渉により、債務の利息・遅延損害金のカットや、長期間での分割払いとすることを目標とする手続きです。
しかし、既に給料が差押えられてしまっているケースでは、交渉は困難となる可能性があります。
というのも、債権者の立場からすれば、時間とコストをかけて給料の差押えの手続きを行い、自動的に給料から返済を受けられる状況を作り出すことに成功しているわけですから、いまさら交渉に応じるメリットは無いと考えられるためです。
任意整理の手続きを選択する場合には、給料が差押えられてしまう前に、債権者との交渉をまとめることを目指すべきです。
⑵ 自己破産・個人再生
自己破産・個人再生の場合、裁判所への申請を行った場合には、給料の差押えの手続きを止めることができる可能性があります。
逆に言えば、裁判所への申請を行う前だと、たとえ自己破産や個人再生を行う場合であっても、給料の差押えを止めることは困難です。