特定調停とは
1 特定調停の特徴
通常の民事調停と比べて、個別の債権債務関係の調整よりも債務者の経済的再生に資するかどうかの観点が重視されているとされます。
平成12年度から特定調停制度は始まっていますが、当初と比べて利用件数は減っています。
また、弁護士による申立てはあまりなく、債務者本人による申立てが多いです。
2 申立てに必要な書類
債務者は、申立てにあたり、財産の状況や、職業、収入その他の生活の状況を具体的に記載して提出することになります。
裁判所を通す手続となる以上、自己破産や個人再生の場合と同様にこうした資料の提出が必要になってきます。
参考リンク:裁判所・特定調停申立てQ&A
3 特定調停の効果
成立した特定調停は、裁判上の和解と同一の効力があるため、強力な手続であるということができます。
もっとも、調停委員が必ずしも債務整理に深い造詣があるわけではないということや、「調停」である以上あくまで相手方債権者が応じなければ成立しないという点で、申立てを行った場合の結果について、明確な見通しを立てることができず、利用しにくいという問題があります。
弁護士による申立てがあまりないのも、そのあたりに理由があるものと考えられます。
現状の支払いが困難で、返済条件を見直したいという問題については、弁護士がついている場合には任意整理を行えば対処できるケースがほとんどであるため、あえて特定調停の申立てを行うという必要がないのです。
4 自分で特定調停を行うのと弁護士に依頼するのとではどちらがいいか
自身で特定調停を行えば、それにかかる費用は調停を申し立てる実費程度で済み、弁護士費用を節約できるという見方もできるかもしれませんが、特定調停のために平日の昼間の時間を費やさなければならないということを考えると、必ずしも自身で特定調停を行うことが経済的にプラスであるとはいえないと思われます。
また、特定調停が成立した場合の内容が、弁護士に任意整理を依頼した場合の和解内容よりも債務者にとって有利になっているとは考えにくいため、その意味でも基本的にはまず弁護士に相談することをおすすめいたします。
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